京都府と府内25市町村(京都市を除く)の税務共同化を目指す設立準備委員会が9日、京都市上京区で開かれ、全国初の広域連合の設立に向けた規約案に合意した。名称は「京都地方税機構」とし、来年1月にも税徴収や収納業務を開始する。
 広域連合は地方自治法に基づく特別地方公共団体。規約案は府内市町村や府議から議員を選出し、議会定数を32人とした。6月から府議会や各市町村議会で規約案を議決、総務大臣に設立許可を申請する。7月にも広域連合を設立し、秋に第1回の議会を開く。
 2011年4月を目標とする課税業務の共同化については、立ち上げ時の事務内容には盛り込まず「課税共同化の準備・システム構築」とした。府税や市町村税の業務一本化で、税務職員数の3割減や徴収率の向上を目指す。

同記事では,京都府内の25市町村と京都府との間で,滞納処分,不服申立処理等の徴税業務に関する広域連合の設置に向けた規約案に合意したことを紹介.2008年5月28日付の本備忘録でも紹介した同府内市町村と同府による税務の共同処理の取り組み.これまでの取り組みについては,同府HPを参照*1
税務の共同処理に関しては,2008年4月に設置された静岡地方税滞納整理機構*2のように,滞納整理に焦点を当てた共同処理機構をおくケースや,都道府県職員派遣による共同徴収が採用されている.前者の静岡県地方税滞納整理機構の場合,設置年度である,「平成20年」の「6月から12月末までの7か月間」の徴収実績としては,「機構の活動による効果」としては,年度途中での集計のためか目標の達成率には満たしてはいないものの,「7.8億円」(直接納付5.4億円,納付約束2.4億円)と「移管予告分」の「31億円」にあり*3,広域処理による効果は見出すことができそう.
本来はシャウプ勧告以降「分権−分離モデルに再編成」されることが企図されている地方税制体系において,現在の実施レベルでは,主体は分離されていても「税務理性」*4は分かち難いのかか,市町村と都道府県との「間」のレベルでは「融合」*5が進みつつある指向性もあるとも観察できるともいえなくもないか.

*1:京都府HP(税金・府債・宝くじ・証紙等府税について)「市町村と府の税務共同化

*2:静岡地方税滞納整理機構HP

*3:静岡地方税滞納整理機構HP(活動状況公表資料)「静岡地方税滞納整理機構の取組成果(20年12月末現在)」(平成21年2月12日)

*4:伊藤大一『現代日本官僚制の分析』(東京大学出版会,1980年)216頁

現代日本官僚制の分析 (1980年)

現代日本官僚制の分析 (1980年)

*5:天川晃・稲継裕昭『自治体と政策』(放送大学教育振興会,2009年)43頁

自治体と政策 (放送大学大学院教材)

自治体と政策 (放送大学大学院教材)