県の重点施策について、県と市町村長らが意見交換する全県市町村長会議が19日、県正庁で開かれ、県と市町村との連携、新型インフルエンザ対策などについて話し合った。
 県と市町村との連携強化は、佐竹敬久知事が知事選で公約に掲げていた。会議では、県側が市町村との共同事務の一部を来年4月にも試行する意向を明らかにしたほか、連携に向けて県と市町村が話し合う「協働政策会議」(仮称)を、ことし10月に設置する方針などを説明した。穂積志・秋田市長は「地域振興局の再編など、市町村で意見が分かれそうな課題についても話し合うのか」、津谷永光・北秋田市長が「昨年度、税の滞納整理のため県職員を派遣してもらった。今後も協力をお願いしたい」と述べた。
 堀井啓一・県総務企画部長はそれぞれ、「これまで以上に時間をかけて議論していきたい」、「共同で滞納整理に向けた組織をつくりたい」と答えた。新型インフルエンザ対策についても議論。県が市町村に設置を要請している発熱外来センターについて、「開業医がセンターで働く場合、どこが報酬を支払うのか。県から明確な説明がない」(栗林次美・大仙市長)、「市町村が不安を抱かないよう、積極的に情報提供してほしい」(斎藤正寧・井川町長)など、踏み込んだ対応を求める意見が相次いだ。知事は「国の意向も踏まえながら、早急に検討したい」と答えた。

同記事では,秋田県が,同県に位置する市町村との間で「協働政策会議(仮称)」を設置する方針であることを紹介.
2009年4月16日付の本備忘録で取り上げた,同県知事により知事選時に提示されたマニフェスト内で言及された同県に位置する市町村と同県との「部分的合体」「機能合体」に関する具体化の取り組み.まずは,「協働政策会議(仮称)」という協議の場を2009年10月に設置とのこと.今後は,2009年5月20日付の毎日新聞の報道にもあるように,「10月には第1回会議を開き,10年3月をめどに市町村が協力して取り組むべき「推進方針」を策定.同4月以降には観光や農業振興,税徴収など,県と市町村で重複する事務の機能合体を進めていく」*1と漸進的な対応を図る方針である模様.
同会議の具体的な内容については,同県HPからは現在のところ把握できず,残念.2009年5月19日付の河北新報による報道では,「政策会議は,年度当初の5月と新年度当初予算編成前の10月に総会を開く.県は審議事項として(1)県と市町村が協働で取り組むべき政策や事業(2)市町村財政に大きな影響が及ぶ制度・政策―などを想定.知事と市町村長は具体的な政策を提案し,合意形成を図る.県と市町村の部局長による幹事会など下部組織も設置.審議事項の実施に向け,課題や実現の可能性を調査する」*2ともあり,政策会議は,総会と幹事会等の複層制を採用し,協働事業と)市町村財政に大きな影響が及ぶ制度・政策に関する審議を行うとある.
同会議,いわば,事前調整の仕組みとして,同県に位置する市町村と同県との間での各種課題(いわば,プログラム)の「標準化(standardization)」*3を図ることで,2009年5月13日付の本備忘録で取り上げた,「静かなる制度」こと,自治紛争処理委員のような事後的な紛争処理への調整及び取引コストの軽減が期待される.ただ,「標準化」には「スムーズな調整と引き替えに,「世間から見た異様さ」やラディカルな変化に対する硬直性などのコストを支払っていること」(123頁)もあるとされる.「部分的合体」「機能合体」による「継続的取引関係」に至ることになるものの,一方で,多分に変化しうる各市町村における自治の領分との,「境界」*4を如何に設定するかは,考えさせられる課題.今後も,要経過観察.

*1:毎日新聞(2009年5月20日付)「全県市町村長会議:協働の政策会議、知事が設置提案/秋田

*2:河北新報(2009年5月19日付)「秋田県 「協働会議」設置へ 二重行政の解消目指す

*3:沼上幹『組織デザイン』(日本経済新聞社)92頁

組織デザイン (日経文庫)

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*4:伊藤秀史「市場と組織 原理の相互浸透と企業の境界」伊藤秀史・沼上幹・田中一弘・軽部大『現代の経営理論』(有斐閣,2008年)97頁

現代の経営理論

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