国家公務員3人が1〜5日、初任者研修の一環で厚真町を訪れ、各分野の業務を体験している。地域の住民と身近に接する、地方自治体を肌で感じながら、今後の業務に意欲を新たにしている。
 3人は総務省中村友亮さん(23)、文部科学省の荒田洋子さん(24)、国土交通省の笹本翔さん(24)。いずれも4月に入省したばかり。地方自治体実施体験研修で訪れた。1日に各担当課長から各事業の説明を受け、2日から各業務を体験している。これまで中心市街地の環境整備事業で、町民と一緒に花の苗を植栽。入浴施設こぶしの湯あつまで、窓口や電話対応もした。笹本さんは、官民挙げて約100人で行われた花植えを例に、「町役場の呼び掛けでたくさんの方がボランティア参加していた。地方自治体は地域住民と密接につながっている」と話していた。5日まで役場職員との懇談などをはじめ、牛の乳搾りや炭焼き、遺跡発掘の現場研修など、厚真の特色を生かした各体験業務を予定している。

同記事では,苫小牧市に国家公務員の初任行政研修の一環として実地体験を行っていることを紹介.
同研修の概要に関しては,人事院公務員研修所HPを参照*1.「原則として国家公務員採用試験の結果に基づき行政職俸給表(一)2級の官職(これに相当すると認められる官職を含む.)に採用された職員」のうち,「将来の行政の中核要員として必要な知識・能力等の向上を図るにふさわしい者として各府省が推薦する者」,「552人」を「4コース」に分けて行う研修.「地方自治体実地体験」では,「地方自治体行政の現場を訪問し,実地体験や自治体職員,地域住民との意見交換等を通じて,地域の多様性,生活実態,住民の意識やニーズ等についての認識を深める」ことが目的とのこと.
同記事は,4コースのうち初陣となるAコースの一部に関して紹介.同記事にあるように,5日間で,植栽,窓口対応,電話対応,遺跡発掘,乳搾り,炭火焼き等々の自治体の「現場」を体験.いわば,初任者の「インターンシップ」的研修ともいえそう(遺跡発掘や乳搾りを常職とされる自治体の職員さんは非常に限定的とも下名は思いますが,まあ,同研修では「地域の多様性」「生活実態」の「認識を深める」ことに主眼があるとすれば,これもありなのでしょうね).
「組織にとっての人間の価値は,各人が現職を通じて組織に貢献する価値によってのみならず,その間に他の職務内容を異にする職に異動しても貢献しうる潜在能力,およびより大きな裁量の行使を必要とするより高いレベルの職務に昇進しても貢献しうる潜在能力を持つことによって定まってくる」*2との解釈があるなかで,自治体の現場をそこはかとなく感じることが期待出来そうな同研修は,2008年3月14日付の本備忘録で取り上げた「三惚れ主義」*3を期待することは酷ではあるものの,各受講者がもつとされる潜在能力の発露又は自覚という効用を多少なりとも窺えそうか.ただ,一方で,受入側の「現場」としての各自治体にとっては,どのような「教育訓練のコストと収益」*4が見いだせるかを考えてみると,興味深い取り組み.

*1:人事院HP(人事院公務員研修所 :公務員研修所が行っている研修初任行政研修)「報道資料平成21年度初任行政研修の実施について」4月23日発表

*2:片岡寛光『職業としての公務員』(早稲田大学出版部,1998年)230頁

職業としての公務員 (行政の理論)

職業としての公務員 (行政の理論)

*3:神一行『自治官僚』(講談社,1986年)139頁(引用頁は,単行本より)(引用頁は,単行本より)

自治官僚 (講談社文庫)

自治官僚 (講談社文庫)

*4:佐野陽子『はじめての人的資源マネジメント』(有斐閣,2007年)101頁

はじめての人的資源マネジメント

はじめての人的資源マネジメント