山形銀行本店は25日、国交省などが環境に優しい交通手段の利用を推進する「エコ通勤優良事業所」の認証を、東北で初めて取得した。同行本店はマイカー通勤を原則禁止し、自転車通勤に手当を支給。本店従業員483人のうち、エコ通勤参加者は77.2%(10月末)に上り、2011年10月末までに80%を目指す。
 山形銀行は「これまでの活動が評価された。従業員への働き掛けをさらに強めたい」と話す。認証取得で、優良事業所ロゴマーク掲示国土交通省のホームページに掲載されるなどの利点がある。期間は2年間。6月に創設され、全国で71社、203事業所が認証を受けている。

同記事では,エコ通勤優良事業所への認証制度の取組を紹介.2009年2月9日付同年2月11日付同年2月25日付同年3月27日付同年3月29日付同年11月14日付の各本備忘録でも触れた「認証制度の叢生」の一つとも整理できそう(認証制度の執行形態及びその動態について,観察を深めて,整理した方がよさそう).同認証制度に関しては,国土交通省HPを参照*1
同認証制度の対象は,「全国の事業所(行政機関を含む)のうち」で,「エコ通勤推進担当者が指名されていること」,「従業員の通勤実態を把握していること」,「エコ通勤に関する具体的な取組みを実施していること」,「エコ通勤プランが作成されていること」という4つの「基準を満たした事業所」がその「対象」とされている.また,「認証機関」は,「公共交通利用推進等マネジメント協議会」となり,「認証制度事務局」として,「国土交通省及び交通エコロジー・モビリティ財団」が務める.手続きとしては,「地方運輸局等」へ申請し,その際,「認証・登録にかかる費用は無料」という.
同「制度事務局」である交通エコロジー・モビリティ財団HPに掲載された「エコ通勤優良事業所認証登録された事業所一覧」*2を拝見すると,平成21年12月25日現在では,203事業所が認証団体となり,これらのうち,認証を受けた自治体としては,同記事にもある山形銀行とともに,平成21年12月25日付で認定を受けた「茨城県庁本庁舎」*3を始めとして,「千歳市役所」,「恵庭市役所」,「軽井沢町役場」,「西尾市役所」,「池田市役所」,「摂津市役所」,「斑鳩町役場」,「鳥取県庁知事部局」の2県5市2町と,やや限定的.
なお,「茨城県庁」では「本庁舎」と,「庁舎空間」的な限定による認証を受けていることに対して,「鳥取県庁」では「知事部局」と,「事務分掌」的な限定により,認証を受けていることは,2008年12月7日付の本備忘録にて項目立てを試みた,本備忘録における妄想的・断続的観察課題である「庁舎管理の行政学」の観点(「第2章:入庁と退庁管理」でしょうか)からも,興味深い差異(ただ,この認証対象の差異は,何故なのでしょうか).
来年度の講義内容の一つとして,都市公共交通関連の文献・資料・事例等の素材収集を進めているなかで,「エコ通勤」もまた,制度設計論における興味深い観察対象.2008年8月8日付2009年8月3日付同年10月5日付の各本備忘録にて言及をした,職員の通勤手段の切替に向けての「エコ通勤」に配慮した通勤手法間でのその支給額(加重)の変更により,「選択者が自分自身の判断で選択するようにしむける」「義務的選択」「命令的選択」*4を整備した場合と,特定の通勤手法を禁じることによる通勤手段の切替のような,より「頑健(robust)に設計」*5した場合の何れが効果的であるかを把握するためにも,上記の個別自治体における「エコ通勤」取組状況は,要確認.

*1:国土交通省HP「別紙4エコ通勤優良事業所認証制度概要

*2:交通エコロジー・モビリティ財団HP(交通環境対策事業エコ通勤)「エコ通勤優良事業所認証登録された事業所一覧」(平成21年12月25日現在)

*3:交通エコロジー・モビリティ財団HP(交通環境対策事業エコ通勤)「2009年12月25日付けで認証・登録されたエコ通勤優良事業所の一覧

*4:リチャード・セイラー,キャス・サンスティーン『実践行動経済学』(日経BP社,2009年)143頁

実践 行動経済学

実践 行動経済学

*5:ジュリアン・ルグラン『公共政策と人間』(聖学院大学出版会,2008年)246頁

公共政策と人間―社会保障制度の準市場改革

公共政策と人間―社会保障制度の準市場改革