豊橋市は4月から、自転車や公共交通機関を使う“エコ通勤”職員を優遇し、人数を増やす県内初の取り組み「とよはしeco2kin(エコ通勤)」を始める。実践者の報奨制度を設けるほか、自転車購入費を補助し、自転車の通勤手当を増額する。2019年度までに職員のエコ通勤率50%の達成と年間300トンの二酸化炭素(CO2)削減を目指す。
 取り組みは全7種類。目玉となる報奨制度は自転車や徒歩、電車、バスでの通勤や車の相乗りを実践した職員に、500円分のクオカードを毎月支給する。自転車を購入する職員には1万円(電動自転車は3万円)を上限に購入費を半額補助し、公共交通機関を利用する職員には、利用駅周辺の駐車場利用料を月2000円を上限に半額支給する。いずれも全職員が加入する互助会制度の積立金を活用し、市税は充てない。
 通勤手当の支給額も変え、自転車通勤者は毎月の現行支給額を1000円増額するが、自動車通勤者は1600〜2000円減らす。駐輪場も130台分増やす。市によると、昨年4月現在で、エコ通勤者は職員3510人中、663人。取り組みは、環境政策推進を公約に掲げた佐原光一市長が発案した。

本記事では,豊橋市における職員通勤に関する取組を紹介.同取組の詳細を確認させて頂こうと,同市HPを拝見するものの,現在のところ,把握できず,残念.
「給料に対する一種の補完的な給与」*1としての手当制度.「通勤手当支給の奨励」は,例えば「自転車通勤奨励策」としては「有効」*2との観察結果も示されているなか,同市では,「通勤手当の支給額」に関して,「自転車通勤者」には増額(「1,000円」)んの誘因措置,一方で,「自動車通勤者」については「1,600〜2,000円」の減額措置という負の誘因的措置を図ることで,通勤手法の転換を図ることを想定されている模様.加えて,同市では「自転車や徒歩,電車,バスでの通勤や車の相乗りを実践した職員」に対して,「500円分のクオカードを毎月支給」する方針という.
同市の取組,いわば「政策的手当」(と,下名が勝手に名付けておりますが)として,2008年8月8日付2009年8月3日付同年10月5日付の各本備忘録にて言及した,環境に配慮した通勤手法の転換方策の一つ.勿論,ひとり手当の変更及び金銭的措置では,通勤という行動様式の変更には限界も想定されなくもない.そのため,「対象とする人々一人ひとりと,個別的,かつ,大規模にコミュニケーションを取ることを通じ」た「一人ひとりの意識と行動の変容を促す」取組とされる「トラベル・フィードバック・プログラム」*3の整備も相補的には肝要とは想定されるものの,現在,職員の方々のうち約19%が「エコ通勤」を選択されているなかで,残りの約81%の職員の方々のうち,物理的に自動車通勤以外の選択が困難な職員の方々を除した皆さんが,同取組を通じて各通勤手法への転換が図られるだろうか.実際の方式変更の状況等も,経過的に明らかになると,更に興味深い.
自治体における,「政策的手当」の取組についても,要確認.

*1:小松恭和「給料,手当及び旅費」小笠原春夫・河野正一『最新地方自治法講座8財務2』(ぎょうせい,2003年)16頁

最新地方自治法講座 (8)

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*2:古倉宗治『自転車利用促進のためのソフト施策』(ぎょうせい,2006年)180頁

自転車利用促進のためのソフト施策―欧米先進諸国に学ぶ環境・健康の街づくり

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*3:藤井聡・谷口綾子『モビリティ・マネジメント入門』(学芸出版社,2008年)18頁

モビリティ・マネジメント入門―「人と社会」を中心に据えた新しい交通戦略

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