若手の小学校教員不足に悩む秋田県教委は10日、東京都教委と小学校教員採用に関する連携協定を結んだ。受験者は県教委の1次選考で不合格になっても、都教委の1次選考の合格ラインに達していれば都教委の2次選考に進める。県教委の1次選考を突破した上で都に採用された教員は5年ほど勤務した後、Uターンして秋田の教員になれる。自治体間の教員採用の連携は全国で初めてという。
 受験者は県の採用試験の際、都の採用も希望するかを申込書類に記入。県教委は、希望者の1次選考の筆記試験データを、合否にかかわらず都教委に提供する。秋田の最終選考合格者は、秋田での採用になる。
 県教委によると、2009年度の小学校教員の採用数は15人で試験倍率は10倍だった。08年度が約15倍、07年度が約37倍と高倍率が続き、現在、県内の20代の小学校教員は全体の1%未満。「高齢化」のため、将来的に中堅教諭が不足する事態が懸念されている。対して都教委は、団塊世代の大量退職に伴い1300〜1500人規模の採用が今後10年間は続く。09年度の試験倍率は約3.5倍と、他県などに比べ志願者は不足傾向にあり、優秀な人材確保が課題となっている。
 協定は、東京で経験を積んだ若手教員に戻ってきてほしい県教委と、地方から志願者を集めたい都教委の思惑が一致した格好。都教委は10年度、秋田との「併願者」を5人程度採用する考えだ。この日、県庁であった締結式で根岸均秋田県教育長は「年齢構成のアンバランスを何とか改善したいと思っていた。都教委の懐の深さに感謝する」とあいさつ。大原正行東京都教育長は「これまで限られた人材を都市部と地方で奪い合ってきた。お互いにとって意味のある試みだ」と述べた。

本記事では,秋田県教育委員会と東京都教育委員会において小学校教員採用に関する連携協定を締結されたことを紹介.2010年2月2日付の秋田魁新聞*1等でも報道されていた同取組.同取組の詳細は,現在のところ,両都県HPでは把握できず,残念.
本記事を拝読すると,秋田県での「受験者」が「県の採用試験の際,都の採用も希望するかを申込書類に記入」し,「県教委は,希望者の1次選考の筆記試験データを,合否にかかわらず都教委に提供」,「県教委の1次選考で不合格」となった場合であっても,「都教委の1次選考の合格ラインに達していれば都教委の2次選考に進める」とのこと.
また,2010年2月10日付の時事通信の配信記事によると,「さらに都教委は高知、大分両県教委とも共同選考を行う方向で調整」*2されているともあり,「自治体間の横の連携」*3の波及が窺えそう.この場合,人事採用をめぐる各教育委員会間での「面の平等」*4の観点からも,例えば共通に「作成」された「試験問題を活用」*5し,あわせて「その使用には統一的な日程が条件」*6とすることも考えられそう.
ただ,前提となる現行の教員採用試験(内容,日程)に関しては,下名,皆目把握していないため,要確認.

*1:秋田魁新聞(2010年2月2日付)「教員採用、東京都と協定締結へ 県教委

*2:時事通信(2010年2月10日付)「共同採用へ協定締結=小学校教員−秋田県・東京都両教委

*3:田口一博「自治体間の横の連携」森田朗・田口一博・金井利之『分権改革の動態』(東京大学出版会,2008年)154-155頁

分権改革の動態 (政治空間の変容と政策革新)

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*4:苅谷剛彦『教育と平等』(中央公論新社,2009年)127頁

教育と平等―大衆教育社会はいかに生成したか (中公新書)

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*5:石井淳子「地方公務員の採用の現状」大森彌編『行政管理と人材開発』(ぎょうせい,1993年)113頁

行政管理と人材開発 (21世紀の地方自治戦略)

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*6:前掲注5・石井淳子1993年:113頁