和歌山県田辺市は13日、現行事業の必要性や効果、効率性について、若手中堅職員が評価する事務事業検証を始めた。検証する職員は現行事業について「必要」か「廃止」などと判定する。その結果を参考に、市は来年度以降の予算編成に反映させる考え。
 検証する対象事務は、市全体で1500超ある事業のうち、主に長年継続している102の事業。選抜された20代から40代前半の若手中堅職員14人が、7人ずつのワーキンググループに分かれ、担当課と意見交換しながら事業について検証する。初日の13日は、広報紙など企画広報課所管の事業と計画課所管の事業を対象に行った。ワーキンググループは、事前に調査した資料を見ながら、担当職員に質問を繰り返していた。検証を受けた企画広報課の松川靖弘課長は「課の中でも事業の見直しはしているが、若手と客観的に意見交換できたのはよかった」と話している。
 検証方法は、ワーキンググループの一人一人が、事業ごとに必要か廃止か、事業を縮小すべきか拡大すべきか、現行通りか、実施主体は国で行うべきか、県で行うべきか、民営なのか、事業の手法を見直すべきか、それぞれ評価する。検証作業は1カ月で終え、その結果を受け、真砂充敏市長を委員長とする検証委員会がさらに事業について検証することになっている。真砂市長は合併から5年が経過した本年度を、事業の総点検の年と位置付けている。

本記事では,田辺市における事務事業検証の取組を紹介.同取組の詳細に関して確認させて頂こうと,同市HPを拝見させて頂くものの,現在のところ把握できず,残念.公開された場合には,要確認.
2010年6月21日付の同紙*1において,「市全体で1500超ある事業のうち,長年継続している約150の事業」を対象に「30代から40代前半の中堅若手職員14人を各部から選抜」され「検証ワーキンググループを組織」され,「事業ごとの評価と今後の方向性を示」した後,同「市長をトップとする「検証委員会」に報告」する方針が報道された同事務事業検証の取組.本記事を拝読すると,実際には,その対象事業は「102の事業」とされ,その検証者の構成に関しては,「20代」の職員の方を含められた「若手中堅職員14人」により実施された模様(102の事務事業は,具体的にはどのような事務事業だったのでしょうか).
2008年10月2日付の本備忘録にて記録していた(振り返ると,随分と以前から本備忘録も記録し続けているのですね),同市における予算編成段階における,「枠配分」方式の採用取組.枠配分方式と同事務事業検証の2つの取組を考えてみると,まず,同事務事業検証では,その名もズバリ「評価」が実施されることとも整理が出来る.一方で,枠配分方式に関してもまた,「予算編成段階に一体不可分に吸収されて見出される」ことで,予算編成において「評価がある」*2との認識に基づけば,同方式においてもまた「評価がある」とも整理ができそう.この二つの評価においてもまた,「集中化の中の分散化,分散化の中の集中化」*3の様相を窺うこともできそうでもあり,興味深い.
一方で,二つの「評価」の関係性では,上記の「検証委員会」を含めた同事務事業検証においては「集中」的な「評価」結果が,「分散」的な枠配分における予算編成へ優越することとなるか,集中的な「評価」の結果については,然は然りながらも,やはり,「分散」的な予算編成に重きをおかれることとなるか,はたまた,そもそも異なる対象の「評価」と整理がなされているものなのか,実際の運営は,これまた,大変興味深そう.
同市の同事務事業の検証及び予算編成過程に関しては,要経過観察.

*1:紀伊民報(2010年6月21日付)「若手職員が継続事業を検証 田辺市

*2:金井利之『実践自治行政学』(第一法規,2010年)258頁

*3:田尾雅夫「開かれた市政運営」村松岐夫・稲継裕昭・財団法人日本都市センター編著『分権改革は都市行政機構を変えたか』(第一法規,2009年)184頁

分権改革は都市行政機構を変えたか

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