パスポートの申請などで県庁を訪れた親子連れに優しい環境をつくろうと、県は9月1日、県庁舎の1階西側に「キッズルーム」を開設する。親子が一緒に遊んだり軽食を取ったりできる空間で、東北6県では初めての設置。村井嘉浩知事は「気軽に親子で県庁に足を運んでほしい」と呼び掛けている。
 ルームは約50平方メートルで、開放時間は平日の午前8時半〜午後5時。親子連れなら誰でも自由に利用できる。子どもたちが安全に遊べるように、ウレタン製マットを一角に敷いて遊戯スペースにする。授乳やおむつ交換ができる個室も備えている。県職員から募った絵本や縫いぐるなどのおもちゃを置くという。ルームはもともと、来庁者向けの喫煙室だった。7月に庁内を全面禁煙とした際に閉鎖。壁紙の張り替えや床清掃でたばこのにおいを一掃した。授乳室は昨年4月、県庁2階の総合売店内に開設したが、「場所が分かりにくい」といった声が寄せられていた。今回、ルーム内に移すことで、利便性の向上を図った。村井知事は23日の定例記者会見で「県庁は県民の財産。多くの親子に足を運んでもらえる、親しみのある県庁舎にしたい」と述べた。
 県庁舎内には現在、18階の展示ホールにスポンジ製ブロックを置いた簡易な「キッズコーナー」がある。議会庁舎北側にある県庁内保育所みやぎっこ保育園では、園庭約600平方メートルを午前10時半〜午後4時、一般の親子連れに開放している。

本記事では,宮城県において,同県庁1階に配置されていた「喫煙室」が「キッズルーム」へのと改装される取組を紹介.同改装の詳細に関しては,2010年8月23日に開催された同県知事記者会見及び同会見配布資料を参照*1
同「キッズルーム」の設置目的は,「小さな」子どもを「連れて県庁舎に来庁した方」が,「申請の待ち時間などを楽しみながら快適に」「過ご」す「ため」に,「小さな」子どもの「ための機能を集約した部屋」として「開設」.「約50㎡」の空間に,「ベビーベッド」が「2台」,「テーブル1台」,「椅子4脚」,「長椅子2脚」,「遊戯マット(ウレタン性」が「約5.4㎡」,「流し台」,「絵本,おもちゃ,子育て等に関する冊子等」,「飲料用自動販売機」が設備.されており,「授乳室は個室」*2も設けられている.小さな子どもをお連れになり,市区町村レベルでの庁舎ではなく,「県庁」へ「来庁」される用務をお持ちの方々は,どの程度おられるのだろうか,要経過確認.
本記事,知事会見の記録を拝読しつつ,同県庁の現在の1階配置図*3を拝見させて頂くと,「喫煙室」は現在「西側」の一角の「みやぎ広報室」の隣に配置され,同案内図からは,喫煙室は庁舎内にひっそりと配置されていた様相も窺うができなくもなさそう.例え,保育関連施設は「迷惑施設」*4との認識が示されることがあるとしても,同空間の利活用を期待される場合,その「住民動線」が「スムース」*5なものとなるのだろうか,要確認(本年後期に,同県に伺う調査等の予定を設計してたいですね).
一方で,上記の知事会見の中では,同取組の背景としては,「1階にはドトールコーヒーもありますし,2階にはコンビニもあります.18階には今度障害者の方にレストランをオープンしていただきますが,子どもさんが遊べるスペースを18階にも設けております」との庁内施設を説明された後,庁舎は「県民の財産」との認識から,「ぜひ子どもさん連れのお母さんやお父さんに県庁に気軽に遊びに来ていただきたい」との意向も紹介されており,必ずしも来庁の用務がない方でもご利用を頂くことを想定されている模様.2008年12月7日付の本備忘録において項目立てを試みた本備忘録における妄想的・断続的観察課題のひとつ「庁舎管理の行政学」の観点(「第4章:執務と憩いの空間としての庁舎」でしょうか)からも,執務以外にも庁舎空間が広く用いられる様子が観察できると,興味深い.

*1:宮城県HP(知事室知事記者会見)「宮城県知事記者会見(平成22年8月23日)」及び「キッズルームの開設について

*2:前掲注1・宮城県(キッズルームの開設について)

*3:宮城県HP(県庁舎案内県庁舎の配置)「県庁舎1階案内図

*4:前田正子『福祉がいまできること』(岩波書店,2008年)11頁

福祉がいまできること―横浜市副市長の経験から

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*5:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『ホーンブック地方自治』(北樹出版,2007年)179頁

ホーンブック 地方自治

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