福岡県芦屋町議会は22日、町内に架かる3つの橋からの魚釣りを全面禁止する条例案を全会一致で可決した。11月1日に施行され、町職員の中止指示に従わない釣り人には最高2万円の罰金を科する。町によると、同様の条例は兵庫県赤穂市にあるものの全国的に珍しいといい、「九州初ではないか」としている。
 規制対象は、遠賀川に架かる芦屋橋、みなかけ大橋と、支流の西川に架かる西祇園橋。橋の中央付近は水深があり流れが急で魚が集まりやすく、3橋ではスズキの幼魚やタチウオなどがよく釣れる。特に夜間に橋の歩道に陣取る釣り人が後を絶たず、通行の妨げとなっている。餌や釣り具の放置もあり、住民から改善要望が出ていた。
 町の立てた「釣り禁止」の看板も効果は薄く、罰則付きの条例制定を決めた。条例施行後は条例内容の説明板を立てた上で町職員が橋を巡回し、注意を喚起する。守田俊次町環境住宅課長は「歩行者が釣り人に注意を促して口論になるなど、トラブルも発生している。安全な町づくりの観点から罰則付きの条例にした」としている。

本記事では,芦屋町議会における「芦屋橋等魚釣り禁止に関する条例案」の可決について紹介.可決された同条例については,現在のところ,同町HPでは,把握できず.公開後,要確認.
そこで,同条例の「素案」及び同素案に対するパブリックコメント意見と回答を,同町HP*1にて拝読すると.同条例素案第3条では,「魚釣りの制止」に際しては,「町長が指定する職員等」を,同条例施行規則(素案)の第3条により「7人以内」で「監視員」として配置されるとあり,同規則(素案)第2条第1項に基づき「町長の定める計画により巡回監視」し,「芦屋橋等橋上で魚釣りをしている者に対して,魚釣りをやめるよう指示することができる」と規定されている.まさに,いわば「ポリス・パトロール型監視(police patrol oversight)」*2
確かに,本記事にて紹介されているように,罰則同素案第5条では,当該「指示に従わない者は,2万円以下の罰金又は科料に処する」とも規定されており,抑止効果としては,これらの「積極的な執行」*3が想定されなくもない.ただやはり,抑止効果としては,「フォーマル・サンクションの発動に伴って生じる,インフォーマル・サンクション」*4が効果を有するとの観察結果からすれば,まずは,日常的な巡回こそが,その抑止効果を期待できそうか.

*1:芦屋町HP「芦屋橋等魚釣り禁止に関する条例(素案)などに対する意見を募集します。(終了しました。)更新日:2010年09月08日」及び「芦屋橋等魚釣り禁止に関する条例( 素案 )などのパブリックコメント実施結果を公表します 更新日:2010年09月16日

*2:北村亘『地方財政行政学的分析』(有斐閣,2009年)179頁

地方財政の行政学的分析 (大阪市立大学法学叢書)

地方財政の行政学的分析 (大阪市立大学法学叢書)

*3:北村喜宣『行政法の実効性確保』(有斐閣,2008年)33頁

行政法の実効性確保 (上智大学法学叢書)

行政法の実効性確保 (上智大学法学叢書)

*4:平田彩子『行政法の実施過程』(木鐸社,2009年)180頁

行政法の実施過程―環境規制の動態と理論

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