都は、課長級以上の再就職情報を一元的に管理して公表する「都庁版人材バンク」制度を始める。これまで公表対象は局長級以上だったが、部課長級も対象に加え、再就職の透明性を高める。
 都によると、警察や消防、教員、医師を除く職員が対象で、これまで局ごとに民間から寄せられた求人情報や再就職先の情報を一元的に集約。毎年十一月をめどに、過去一年間の退職者の再就職状況をホームページなどで公表する。都が出資する監理団体などへ再就職した部課長級は、これまでも公表していた。三十以上の都道府県ですでに、同様の公表制度があるという。昨年度の場合は、課長級以上の退職者二百四十人のうち、局長級が十二人と、監理団体などに再就職した部課長級五十五人が公表されていたが、民間企業などに雇用された部課長級の七十六人は公表の対象外だった。

本記事では,東京都における離職管理に関連する制度と再就職情報の公表の取組について紹介.同制度及び同取組に関しては,同都HPを参照*1
「都庁版人材バンク」は,「都を退職する職員」のうち「課長級以上」の方に対して,「職員が在職中に培った知識や経験」を「様々な分野で活用すること」を,同都では「社会の要請に応じること」でもあり「有意義と考え」て整備.同制度の利用に至る「手続」としては,まずは,「求人の受付」が行われ,「都職員の再就職を希望する求人企業等」が「東京都総務局人事部または各局人事担当」へ「求人申込書兼誓約書」を「原則として」「春期退職予定者の情報提供を希望する場合」には,前年12月まで,「夏期退職予定者の情報提供を希望する場合」には,当該年の3月までに「提出」することが求められている.次いで,「人材情報の提供」となり,同「都は求人申込書兼誓約書の提出を受けた後」,「退職予定職員の経験や知識等を勘案し,求人企業等の求人内容に合致する人材情報」を「原則として平成23年1月〜6月末日の間に提供」することになる(「退職予定職員」の希望や意向確認は行われるのでしょうか).第三段階は,「人材情報の選定」であり,「求人企業等が情報提供を受けた人材の採用を希望する場合」には「都は職員に対し求人情報を提供」を行うこととなる.同都の業務はここまでとなり,最後の「選考等」「以後」に関しては,「双方で選考(面接等)の日程を調整」を行い,実施となり,そして「採用の有無にかかわらず,結果についてはご連絡」*2を求めている.
退職予定職員と求人企業等との間での成約に至った場合にはよいものの,マッチングが不適当となり,登録をされていながらも退職後に至った場合には,同登録からは除籍されるのだろうか.例え,在職最終年でのマッチングが不成立となった場合でも,上記の「職員が在職中に培った知識や経験」を「様々な分野で活用すること」が,その効果測定に基づき,有効であるであるとすれば,平成22年10月8日に閣議決定された『「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」について』に設けられた「新卒者就活応援プログラム(仮称)」における「3年以内既卒者(新卒扱い)」*3とされることに倣えば,情報のみでも,「3年以内職員(退職予定職員扱い)」として,登録しておくこともまた考えられそうか.
「国家公務員の場合」には,「営利企業の就職については国家公務員法第103条において離職後2年間は民間企業への再就職が規制されてきた」ことに対して,「地方公務員法には同様の規定が存在せず」,「私企業への再就職について何ら法的規制はない」*4.一方で,「都への営業活動の自粛」も設けられており,「企業等へ再就職する職員」に関しては,「退職後2年間は退職前5年間に担当した職務に関連する営業活動に職員を従事させないこと」とされており,これらは,「自粛」との規定からは,厳格な自己規制として整備されているのか,又は,個々人の判断に基づくのものであるのか.そして,これらの「自粛」が自治「立法レベルでの規制措置」*5として担保されることになるかは,判然とはしない.要確認.

*1:東京都HP(各局のページ総務局人事部)「「都庁版人材バンク」について

*2:前掲注1・東京都(「都庁版人材バンク」について)

*3:首相官邸HP(新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策)「「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」について」(平成22年10月8日 閣議決定)6頁

*4:中野雅至『天下りの研究』(明石書店,2009年)67頁

天下りの研究

天下りの研究

*5:前掲注4・中野雅至2009年:69頁