足立区は1日から、古紙やアルミ缶などの資源ごみを持ち去った者に対して2000円の過料の徴収を始めた。区と環境省によると、ごみの持ち去りに対して指導や警告を経ずに“現行犯”で現金を徴収する条例の施行は全国的にも珍しいという。
 区は昨年3月、「区廃棄物の処理及び再利用に関する条例」を改正。区職員らがパトロールし、資源回収場所やごみ集積所に出されたごみから、リサイクル可能な廃棄物を持ち去った者に過料を科す。区環境部計画課によると、回収場所などにあった古紙をトラックに載せるなど持ち去りが確認された時点で、その場で2000円を徴収するという。
 これまで資源ごみの持ち去りに対しては、東京23区では世田谷区など11区が罰金を、品川区が過料を、それぞれ罰則とする条例を施行。しかし、罰金では刑事告発して刑が確定するまでに長期を要する場合がある。また品川区は命令に応じない場合のみ過料5万円を科すため、実際の徴収例はない。同課は「2000円という額はその場で徴収できる可能性が大きいし、古紙だと約200キロ分に相当し、労力に見合わないため抑止効果が期待できる」と実効性を強調している。【池田知広】

本記事では,足立区において,「廃棄物の処理及び再利用に関する条例」改正条例の施行について紹介.同条例及び改正概要については,同区HPを参照*1
「古紙やびん,缶などの資源ごみの持去り行為が横行していること」の事実に基づき同条例を改正.主な改正点は,同条例第28条の2の第1項により「区や区が収集・運搬の業務を委託した者以外の者が,資源回収場所・ごみ集積所から資源ごみを持ち去る行為を禁止」されたこと,そして,同条例第74条により「規定に違反して収集又は運搬を行った者に対して,5万円以下の過料を科」すこと,また,同条例第28条の2の第2項により「違反して収集し運搬した物を,原状に復さなければならない」ことの3点の模様.実際の過料の金額に関しては,「資源売買相場を参考に違反行為を躊躇させるだけの十分な抑止効果が得られる金額」*2として,本記事にも紹介されているように「2,000円」とされる模様.「よく知っている相手には,厳しくできない」*3とも解されるものの,同条例が想定される規制対象者とは,一定の「距離」が想定される存在するのだろうか,要確認.
ただ,本記事を拝読させて頂くと,「区職員らがパトロール」ともある.実効性の確保には,2010年2月6日付及び同年12月17日付の各本備忘録でも言及したように,「高レベルの執行水準」には「人海戦術*4も必要か.実施状況は,要経過観察.

*1:足立区HP(計画・報告、インナーマニフェスト、行政評価、財政例規集・要綱足立区例規集)「足立区廃棄物の処理及び再利用に関する条例」(平成11年12月27日 条例第38号),足立区HP(トピックス)「資源の持去りに罰則が科されます

*2:前掲注1・足立区(資源の持去りに罰則が科されます)

*3:嶋田暁文「執行過程の様相」大橋洋一編著『政策実施』(ミネルヴァ書房,2010年)224頁

政策実施 (BASIC公共政策学)

政策実施 (BASIC公共政策学)

*4:北村喜宣『行政法の実効性確保』(有斐閣,2008年),33頁

行政法の実効性確保 (上智大学法学叢書)

行政法の実効性確保 (上智大学法学叢書)