地域の集団回収に出された古新聞や段ボールなどを第三者が持ち去るのを禁じる名古屋市の「古紙持ち去り防止条例」が一日、施行された。古紙の売却益は回収に協力した地域団体に還元される仕組みだが、市は年千トンが勝手に持ち去られているとみている。
 市環境局によると、学区や町内会、子ども会など市内の二千八百団体が集団回収を実施している。古新聞や雑誌、段ボール、紙パックの古紙回収量は二〇一一年度に九万三千トンだった。この条例は指定業者以外の第三者による持ち去り被害を防ぐ狙いで、市議会の自民と公明、民主の三会派が議員提案し、昨年十二月に可決された。勝手に持ち去られると、回収量に応じて地域に還元される古紙の売却益や市からの助成金が減ってしまうためだ。
 違反した場合は持ち去りをやめるよう勧告、命令をした上で五万円以下の過料の徴収や氏名の公表ができるとした。罰則規定は十月一日から適用される。条例が施行された一日朝、「No!持ち去り」と書かれたのぼりを掲げながら、河村たかし市長や市議、地域住民らが千種区内を歩いてパトロール。条例のPRとともに「持ち去りを防ぐため古紙は回収日当日の朝に出して」と呼び掛けた。(石川修巳)

本記事では,名古屋市における「集団回収における古紙の持去り防止に関する条例」*1の施行を紹介.
同条例では「集団回収等の廃棄物の減量を目的とする市民の自主的な活動を行う団体のうち」「古紙の集団回収を行う団体として市長が指定し者」「以外のもの」が「所定の場所」に「排出された古紙を収集」「運搬」(同条例第2条)を禁止.「古紙を収集」又は「運搬する者」には「これらの行為をしないよう勧告」及び同勧告に「従うべきことを命ずる」(同条例第4条).そして,「命令に従わない」場合に「その者に意見を述べる機会を与えた上で,その旨を公表」(同条例第5条第1項)するか,または「5万円以下の過料に処」(同条例第6条)せられる.また,同市では「禁止される行為を防止するため」に「必要な措置を講」じ,「必要に応じて関係機関等に協力を求める」(同条例第3条)とも規定.本記事で紹介されている「パトロール」は,同協力の一つなのだろうか.要確認.
同市では,2010「年6月頃」から「古紙の持ち去り行為」の「通報」を受けると,同年7月には18件」と「急速に増加」,同「年8月には61件」となり,その後「毎月10〜20件前後で推移」*2しているという.通報された顕在化された行為に加えて,通報されてはいない潜在的な持ち去り行為も想定されなくもない.持ち去るものに対して「強制によって各自が適切な行動方針をとるような動機」を与えようとする同条例,過度に持ち去りが横行する場合には,集団回収へと巻き込み「規範を守ったら得になるようなポジティブな圧力」*3の設計も可能だろうか.考えてみたい観察課題.