県の最高幹部人事で、3月末で任期満了となる須藤揮一郎(53)、麻生利正(65)両副知事が今期限りで退任することが、1日までに固まった。福田富一知事は厳しい財政状況を考慮し、副知事を1人態勢(1人は空席)とする方針。後任には総合政策部長などを歴任した「とちぎ生涯学習文化財団」理事長の佐藤順一氏(61)の起用が有力だ。
 須藤、麻生両氏は行政手腕の評価が高く、退任後も須藤氏は常勤の県理事、麻生氏は非常勤の県参与として、それぞれ新設ポストで、これまで特命で担当してきた産業振興や地域医療などの重要課題に携わり、引き続き福田県政を支える予定。須藤氏は新年度に設置する「県企業誘致・県産品販売推進本部」(仮称)の本部長に就任する見通し。同本部は県東京事務所に拠点を置き、首都圏を中心に本県への企業誘致や県産品の販路拡大に部局横断で取り組む「とちぎのいいもの」販売推進事業を統括する。麻生氏は地域医療機関の整備・再生や医療と福祉の連携、在宅医療の充実、県内の医師不足解消などの課題に対処するため、保健医療分野での長年の経験を生かして、関係機関の調整役などを期待されている。任期は2年の予定だ。
 後任として有力な佐藤氏は県財政課長や産業労働観光部長、総合政策部長を歴任し、09年4月から現職。重要課題である財政健全化や景気・雇用対策での手腕、政策立案力などが評価されている。県は07年4月から副知事2人制を導入。福田知事は財政健全化策を実行中であることなどを踏まえ、副知事を1人とする意向だ。2人制の条例100+ 件は廃止せず、1人空席とする。
 須藤氏は旧自治省(現総務省)から1993年、財政課長として県に出向。企画部長、総務部長を経て2003年4月から副知事。麻生氏は68年に県庁入り。保健福祉部長、総務部長、出納長を歴任し、副知事2人制導入と同時に副知事に起用された。

本記事では,栃木県における副知事職及び同職候補者の人事方針について紹介.
本記事においても紹介されているように,2人制を採用されている同県.現在は,「県政の総合的な企画及び調整に関すること」「人事及び予算編成に関すること」「その他知事が指定する事項に関すること」はお二人での「共管事務」と位置付けられているものの,それぞれ部単位で業務を分掌されており,前者の副知事は,「行財政改革に関すること」「総合政策部に関すること」「経営管理部に関すること」「農政部に関すること」「県土整備部に関すること」「企業局に関すること」「行政委員会(教育委員会を除く.)に係る連絡調整に関すること」「その他知事が指定する事項に関すること」をご担当,後者の副知事は,「危機管理に関すること」「県民生活部に関すること」「環境森林部に関すること」「保健福祉部に関すること」「産業労働観光部に関すること」「会計局に関すること」「教育委員会に係る連絡調整に関すること」「その他知事が指定する事項に関すること」*1をご担当されている.
本記事を拝読させて頂く限りでは,現職の両副知事の御退任後も,前者の副知事は,「常勤」の「理事」として異動される模様.本記事でも報道されているように「後任は1人態勢」の予定であることを踏まえて,事実上の分掌を想定されているのだろうか.興味深い(なお,「県理事」というのは,同県の行政組織規定第14条第2項に規定されている「特に知事が指示する事項を処理する」職としての「理事」*2とは異なる職なのでしょうか.要確認).
「首長が自治体行政機構内外の人材から自由に登用することができる」*3同職.「副知事はブレーンなのか事務補佐役なのか」*4というダイコトミーに対しては,何れもという整理が適当か.考えてみたい.

*1:栃木県HP(県政情報公報・例規・統計例規集栃木県例規集)「栃木県副知事の担任事務に関する規程」(平成十九年四月一日,栃木県訓令第二十号号)

*2:栃木県HP(県政情報公報・例規・統計例規集栃木県例規集)「栃木県行政組織規程」(昭和三十九年四月一日,栃木県規則第二十七号)

*3:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『ホーンブック地方自治』(北樹出版,2007年)70頁

ホーンブック 地方自治

ホーンブック 地方自治

*4:佐々木信夫『都知事』(中央公論新社,2011年)21頁

都知事―権力と都政 (中公新書)

都知事―権力と都政 (中公新書)