地域で一人暮らしの高齢者の支援などに当たる民生委員について、2010年12月の改選で定数に届かずに生じた欠員が、熊本など35の都道府県で07年の前回改選時より増え、定数割れが進んでいることが31日、厚生労働省のまとめで分かった。
 全国の欠員は計5355人で、4819人だった07年より536人増え、充足率は0・2ポイント悪化し97・7%だった。民生委員の活動は、高齢者らの生活相談や児童虐待防止の監視など多岐にわたる。昨年の高齢者所在不明問題で、その役割に注目が集まったが、委員自体も高齢化で後継者が見つからず、全国的になり手不足の傾向が続いている。厚労省自治体に対し、民生委員に支援を必要とする人の個人情報を提供するよう促すほか、福祉サービス提供の方針を定めた「地域福祉計画」の策定を求め、民生委員の活動環境の改善を図る方針。
 定数の充足率でみると、07年より熊本が1・2ポイント、秋田が1・0ポイントと大幅に悪化した。前回より欠員が減り、改善したのは長崎など10県。愛媛は前回に引き続き定数を満たしたが、前回定数に届いていた富山、山梨の2県は今回、定数を割った。民生委員は、市町村の推薦で厚労相が委嘱し、任期は3年。

本記事では,厚生労働省による民生委員の就任状況に関する調べの結果を紹介.同数値,「社会福祉行政業務報告」の「福祉行政報告例」*1における2010年度調査結果とも想定されるものの,現在のところ,同報告は掲載されていない模様.掲載後,要確認.
本記事を拝読させて頂く限りでは,同省では,自治体に対して「民生委員に支援を必要とする人の個人情報を提供するよう促す」ことを求められる模様.民生委員が「能動的情報資源調達」*2を図り,自治体に対して情報を提供されていた運営から,むしろ自治体側が民生委員に対して,情報提供・活動支援を図る仕組みを想定されている模様.また,「主体の拡大,多様化,主体間の相互作用,相互作用の様態,プロセスの多様化・変化という要素」をも内包した「ガバナンスの計画」*3とも解されることもあってか,その「主体の拡大」をまずは図るためにも,同省としては「「地域福祉計画」の策定」を通じて,「民生委員の活動環境の改善」を促されることを企図されている模様.実際に「欠員」を生じた「熊本など35の都道府県」と「改善」された「長崎など10県」(残り2県は,どのような現状なのでしょうか)との差異には,これら「地域福祉計画」の策定状況も,要因の一つなのだろうか,興味深い.要確認.

*1:総務省統計局HP(e-stat:政府統計全体から探す政府統計一覧社会福祉行政業務報告

*2:城山英明「情報活動」森田朗編『行政学の基礎』(岩波書店,1998年)271頁

行政学の基礎

行政学の基礎

*3:荒見玲子「ガバナンスにおける計画 −市町村地域福祉計画を事例に」『年報行政研究44 変貌する行政』(ぎょうせい,2009年)142頁

変貌する行政―公共サービス・公務員・行政文書 (年報行政研究)

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