議員の働きぶりに応じて報酬に差を付ける「成果主義」を全国で初めて導入した熊本県五木村議会(定数10)で6日、初年度となる2010年度の評価結果が公表された。村民4人で構成した評価委員会が議員10人(1人は昨年末に辞職)を査定。5段階の真ん中にあたる「良好」は8人、下から2番目の「やや良好」は2人だった。
 1年間の成果は、「一般質問や質疑の内容」「政策提案」など6〜7の項目について評価。結果は、「優秀」「やや優秀」「良好」「やや良好」「普通」に区分された。一般議員の月額報酬21万3千円のうち17万円は定額支給し、残りを成果報酬に回す仕組み。「優秀」に支払われる51万6千円(月額換算で4万3千円)は、月額報酬を満額受け取ったのと同じ計算になる。一方で「良好」は25万8千円(同2万1500円)、「やや良好」は12万9千円(同1万750円)を支給。「普通」だと1円も出ず、結果への異議申し立ては認められない。
 同村は民主党政権が中止を表明した川辺川ダム計画の水没予定地として村中心部が移転し、人口はピーク時の4分の1以下まで落ち込んでいる。成果報酬は議員に活発な政策提言を促し、村の窮状を打破しようと昨年度導入された。ただ、議会側の申し合わせで個々の議員の評価内容は公表されない。田山淳士議長は「1年目で何もかも手探りだった。評価項目を見直し、制度を充実させたい」と話したが、評価内容の公表について「議員にもプライバシーがあり名前の公表まではしたくない」と説明した。(貞松慎二郎)。

本記事では,五木村議会における議員の成果評価結果の公表の取組を紹介.
2009年12月14日付及び2010年2月24日付の両本備忘録にて取りあげた,五木村議会における議員報酬の一部への成果主義の導入の取組.同取組の詳細は,同村の「五木村議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例」を参照*1
同村の「議員報酬」は,「定額報酬と成果報酬」(同条例第2条第1項)から構成.そのうち,前者の定額報酬は,各役職毎に,「議長」は「月額227,000円」,「副議長」は「月額187,000円」,「その他の議員」が「月額170,000円」(同条例第2条第2項)が支給される.そして,これに成果報酬が予めそれぞれの役職毎に5区分で定められており(2010年2月24日付の本備忘録で記録した3段階と報道されておりましたが,結局,5段階評価を採用されていたのですね).例えば,議長は,「成果が優秀」の時は「年額684,000円」,「成果がやや優秀」であれば「年額513,000円」,「成果が良好」は「年額342,000円」,「成果がやや良好」は「年額171,000円」,そして,「成果が普通」の時には「年額0円」となる(副議長・その他の議員の成果報酬の額だけ記録しておくと,区分の順位毎に,副議長は564,000円,423,000円,282,000円,141,000円,そして,0円,その他の議員は,516,000円,387,000円,258,000円,129,000円,0円とされる).
ただ,「議長が任命する5名以内の評価委員」(同条例第5条)により実施された(2010年2月24日付の本備忘録では,「村執行部や議員,議員OB,有識者らを想定」との報道もありましたが,実際の評価委員はどのような構成だったのでしょうか,要確認),同評価の結果は,本記事で紹介されているものの,現在のところ,同村議会及び同村HPでは確認できない模様.要確認.
一般的に「内発的動機づけを支える」ものとしては「自律性」とともに「有能感」*2があるとされるなか,同村の同評価結果を通じて,同村議会の4年に1度の選挙という成果評価のみならず,「新しいことに挑戦」するうえでも,毎年度の評価を通じて「有能感を獲得」*3されることに結びつくか,今後もまた,要経過観察.

*1:五木村HP(五木村例規集)「五木村議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例」(昭和31年12月28日,条例第7号)

*2:稲葉祐之, 井上達彦, 鈴木竜太, 山下勝『キャリアで語る組織経営』(有斐閣,2010年)79頁

キャリアで語る経営組織 --個人の論理と組織の論理 (有斐閣アルマ)

キャリアで語る経営組織 --個人の論理と組織の論理 (有斐閣アルマ)

*3:前掲注2・稲葉祐之, 井上達彦, 鈴木竜太, 山下勝2010年:82頁