熊本市は来年度から市中心部の駐輪場を有料にする方針を固めた。駐輪場を今の1・3倍以上にして、中心部に乗り入れる自転車すべてを受け入れる態勢を整える。同時に中心部のほとんどを自転車の放置禁止区域に指定して取り締まりを強化する。関連条例改正案を9月定例会に提案する。
 アーケード街や大型商業施設が集まる中心部には現在20カ所(うち市営17)の駐輪場がある。現状でも自転車3986台を止められるが、1日当たりの乗り入れ台数(5094台)を下回る。結果、慢性的な路上の放置も目立ち、1日当たりの放置自転車は1857台(昨年度)に上る。有料化は政令市では、浜松市を除く18市ですでに実施。熊本市は市営駐輪場の料金を自転車(12時間)、ミニバイク(6時間)、大型バイク(2時間)各100円と設定。自転車とミニバイクは2時間以内は無料にする。
 民間駐輪場も基準料金は100円にするが、止められる時間は自由に決める。周辺商店街と提携した割引サービスなど業者間の競争も期待できるという。市営は基本的に24時間営業とし、民営にも24時間営業を働き掛け、利便性を高める。市は市営駐輪場10カ所を閉鎖する代わりに民間業者の参入を求めて計5355台分を確保する方針。試算では駐輪場の整備には自転車1台当たり約10万円、バイクは同約15万円かかるため、半額程度を補助する考えだ。
 市生活安全課の宮崎裕章課長は「市民の負担は増えるが、理解をお願いしたい。有料化に際し、駐輪場のサービス向上にも努める」と話した。

本記事では,熊本市における放置自転車対策の方針を紹介.同方針は,現在のところ,同市HPでは把握できず,残念.公表後,要確認.
同市における「放置自転車の実態」の変遷を拝見させて頂くと,1990年では「6,263台」(内訳,自転車放置数4,789台,原付放置数1,474台)であったものの,2000年には「5,121台」(内訳,自転車放置数4,648台,原付放置数473台)と総数では減少しつつも放置される自転車の数は漸減.ただ,2009年段階では「2,977台」(内訳,自転車放置数2,758台,原付放置数219台)*1と放置される自転車数も減少傾向が窺われそう.
しかしながら,現状は,本記事を拝読させて頂くと,依然として,現行の駐輪場の「1日当たりの乗り入れ台数」が超過した状態にある,という.そこで,「中心部のほとんどを自転車の放置禁止区域に指定」するとともに,市営駐輪場の増設と時間毎での有料化という「構造的方策」*2を採用との方針.あわせて,その際「市営駐輪場10カ所を閉鎖」しつつ,「民間業者の参入」を促すことで,駐輪場の整備を進められる模様.加えて,民間駐輪場では「基準料金」は市営駐輪場を基準としつつも,市営駐輪場とは異なり「止められる時間は自由に決める」ことにする方針という.いわば,その整備と利用のいずれも,民間駐輪場へと「誘導」*3することが企図された方針としても整理ができそう.実際の整備状況と利用状況の何れも,要経過観察.

*1:熊本市HP(くらし・環境・経済河川・交通自転車利用の皆様へ)「放置自転車の実態について

*2:藤井聡社会的ジレンマの処方箋』(ナカニシヤ出版,2003年)36頁

社会的ジレンマの処方箋―都市・交通・環境問題のための心理学

社会的ジレンマの処方箋―都市・交通・環境問題のための心理学

*3:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『改訂版 ホーンブック地方自治』(北樹出版,2011年)91頁

ホーンブック 地方自治

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