和歌山県田辺市は、職員研修の新しい取り組みとして地元産品の販売や観光PRの現場で実務体験をさせる。田辺を売り込むことができる職員を増やすことが目的で、参加職員を指定せず自主性を重視して庁内で公募する。
 地域活性化のためと題した職員研修で本年度は3回予定。すでに受ける職員を決めている。1回目は8月30、31日の2日間、上富田町朝来の上富田文化会館であった「商品相談・商談会」(田辺周辺広域市町村圏組合など主催)で、商談内容を記録する業務だった。研修したのは市建設部計画課主査の浜本栄二さん(40)。普段の担当業務はJR紀伊田辺駅前広場改修事業などに関わっており、ボランティアで扇ケ浜のイルカ触れ合い事業など市のまちづくり活動に参加している。浜本さんは、商談会に出席した東京都内の百貨店や大手スーパーのバイヤーと地元の事業者との商談を聞き取って記録した。「地元業者がどういった商品を推し、バイヤーからは消費者が何を求めているのかを知る機会となった」といい「これからまちづくりする上で参考になることが得られた」と話す。
 2回目の職員研修は10月15、16日の2日間、堺市で開かれる「堺まつり」を予定。田辺市の地域産品を販売し、観光のPRを行う。研修を受けるのは市企画部企画広報課主事の浅里志乃さん(29)。普段は市の広報紙を担当しているが「田辺のことをPRできるように勉強したい」と話している。
 3回目は、来年3月に大阪市住之江区で開かれる大阪アウトドアフェスティバルを計画。市内の熊野古道やキャンプ場、トレッキングなどアウトドアをPRする研修を行う予定。
 真砂充敏市長は「産業力の強化」を市政の柱に掲げており、その一つの取り組みとして首都圏や京阪神に産品の販路拡大に乗り出している。職員研修でも産業振興への職員の理解を深めるため、関係課だけでなく全庁的に取り組む方針。市総務課の小川鏡課長は「普段の業務と異なる実務体験をすることが良い刺激になり、田辺市をPRできる職員を増やしていきたい」と話している。

本記事では,田辺市における職員研修の取組を紹介.同研修の詳細は,現在のところ,同市HPでは把握できず,残念.
本記事を拝読させて頂くと,同研修では「自主性を重視して庁内で公募」による職員の方が,年3回,「上富田町」「堺市」「大阪市」で開催れる「商品相談・商談会」やお祭り等の場で,「地元産品の販売」や「観光PR」等の「現場で実務体験」を実施.なるほど,武家の商法ならぬ役人の商法の「実務体験」を通じて,「必ずしもマニュアルにはすべては書かれていない」ような「技能や知識向上」*1が企図されている模様.同研修を辻手,どのような技能や知識を習得され,日々の業務に反映されることになるか,その効果測定も興味深そう.

*1:稲継裕昭『地方自治入門』(有斐閣,2011年)92頁

地方自治入門 (有斐閣コンパクト)

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