東京都は、来年4月に入庁が内定している新規採用職員約1000人の中から、希望者を今年12月に前倒しで着任させる。
 都は東日本大震災の被災地支援で、現地に職員を大量派遣しており、内定者数十人規模を前倒しで採用することで各部局の戦力補強を図る。都は震災直後から岩手、宮城、福島の3県に現地事務所を開設。医療支援や復旧・復興支援を続けており、派遣数は一般職員、教職員だけで延べ5000人を超える。10月末現在で171人が、被災自治体の行政事務や選挙事務の支援、道路や河川の災害復旧、教育支援などに当たっている。この結果、派遣元の部局は慢性的に人員が不足しており、来春の新規採用職員の中から、既卒者で来年4月を待たずに勤務できる人材を集め配属させる。意向を聞いた上で、早ければ来月1日付で着任させる。

本記事では,東京都における2012年4月入庁採用予定者の「前倒し」採用の取組を紹介.
同都では,「平成23年3月14日」から「同月17日」の期間での「気仙沼市」への「都立病院3班(広尾病院1班,墨東病院1班,多摩総合医療センター1班)」*1から始まり,「平成23年10月31日」現在,「広域緊急援助隊等」として「警視庁」から「人員18,667名(延べ人員154,570名)」,「緊急消防援助隊等として「東京消防庁」からは「人員3,228名」,「医療等支援」として「福祉保健局,病院経営本部,交通局,教育庁」からそれぞれ,「東京DMAT」が「14チーム」「43名」 「医療救護班」として「139班」「541名」,「薬剤師班」として「37班」「92名」,「保健師チーム 」として「107班」「370名」 ,「こころのケアチーム」として「42班」「298名」,「児童相談所職員」が「6名」,「検案医」が「59名」,「医療支援職員」が「4名」, 「臨 床心理士チーム 」として「22班」「158名」 ,「医療救護班の輸送」が「41名」,「介護職員の派遣」が「496名」,「公衆衛生チーム」として「20班」「55名」,「動物保護班」として「4班」「14名」 ,「手話通訳者の派遣」を「1班」「2名」 ,「診療放射線技師班」が「2名」 ,「介護保険事務支援職員」が「6名」,「母子保健・感染症予防業務」として「1名」*2を派遣.
本記事では「派遣元の部局は慢性的に人員が不足」とも報道されているように,上記の「急援助隊」「消防援助」「医療等支援」の職員の方々に限らず,「復旧・復興支援等」にも同都の職員の方々が派遣されている.具体的には,「仮設住宅建設協力等職員」が「都市整備局」から「88名」,「被災宅地危険度判定士の職員」を同じく「都市整備局」から「3名」,「被災建築物応急危険度判定支援」にも同じく都市整備局から「5名」,「震災復興マニュアル技術支援」にも同じく「都市整備局」から「3名」,「区画整理関係業務支援職員」を同じく都市整備局から「1名」 と一つの局として都市整備局が多種の派遣をされている.ただし,派遣職員数からは,「下水道事業技術職員等」として「下水道局」から派遣される「571名」が最多となる.次いで,「災害廃棄物(生活ごみ)処理支援」として,「環境局」からの「299名」,「教育庁」からは「被災地教育委員会」への「189名」,「東京都公立学校教員」の「85名」と274名を派遣されている.その他では,「被災自治体の選挙事務支援職員」には「選挙管理委員会事務局」から「26名」,「港湾施設復旧協力職員」を「港湾局」から「12名」,「水道事業技術職員等」を「水道局」から「167名」,「被災地支援現地事務所の開設」に関しては「総務局」から「11名」,「放射線量測定試験の支援」には「産業労働局」から「2名」,「農地・農業用施設等の災害復旧支援職員の派遣」を同じく「産業労働局」から「1名」*3をそれぞれ派遣.
また,他局に跨る派遣もある.「被災地避難所運営等支援」には,局を限らず「各局」から「1,688名」.「被災自治体の行政事務支援職員」を同じく「各局」から「43名」 ,「学校施設等の危険度調査等支援」には「教育庁,都市整備局,財務局」の3局から「23名」 ,「道路・河川等の災害復旧支援職員」として「都市整備局,建設局」の2局から「26名」,「公共建築物の災害復旧支援職員」を「財務局,都市整備局,交通局,教育庁」から「6名」 *4
上記資料(「東日本大震災に伴う被災地域への支援について  各種支援班の派遣状況等(平成23年10月31日時点現況)」)の整理からは,「被災地避難所運営等支援」と「被災自治体の行政事務支援職員」のように局を限らず「各局」から派遣に含まれていることも想定されなくはないものの,いわゆる「条例局」*5レベルでは,「知事本局」「スポーツ振興局」「生活文化部」「中央卸売市場」を除くと,全ての局の職員の方々が,まさに「最大動員」*6が図られていることが分かる.
本記事では,2012年4月の新規採用職員予定者のうち「既卒者」で2012年「4月を待たずに勤務できる人材を集め配属」する方針とのこと.なるほど,興味深い.一方で,新規採用者となると,地方公務員法第22条第1項にいう「条件附採用」の期間として「制約」*7があるなかでの業務となりそう.採用状況及び実際の業務に関しても,要経過観察.

*1:東京都HP(各局のページ総務局災害対策情報(総合防災部)東日本大震災への東京都の対応各種支援班の派遣状況について過去分)「東北地方太平洋沖地震に伴う東京都の支援について(第1報)(医療救護班の派遣)

*2:東京都HP(各局のページ総務局復興支援対策部被災地支援の取組各種支援班の派遣状況について過去分)「東日本大震災に伴う被災地域への支援について  各種支援班の派遣状況等(平成23年10月31日時点現況) 」2頁

*3:前掲注2・東京都(東日本大震災に伴う被災地域への支援について  各種支援班の派遣状況等(平成23年10月31日時点現況))2〜3頁

*4:前掲注2・東京都(東日本大震災に伴う被災地域への支援について  各種支援班の派遣状況等(平成23年10月31日時点現況))2〜3頁

*5:松井望「石原都政下の組織編成と人事政策」『都市問題』Vol.102,2011年6月,80頁

*6:村松岐夫『日本の行政』(中央公論社,1994年)28頁

日本の行政―活動型官僚制の変貌 (中公新書)

日本の行政―活動型官僚制の変貌 (中公新書)

*7:町田智弥,かたぎりもとこ『リアル公務員』(英治出版,2010年)42頁

リアル公務員

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