大津市は6日、市運営のインターネット会員制交流サイト「おおつSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」を来夏にも廃止する方針を明らかにした。前回市長選で目片信市長のマニフェストに盛り込まれ、3年前にスタートしたが、利用低迷を理由に昨夏の事業仕分けで「廃止」と判定されていた。SNSの運営を利用者でつくる民間団体に移行し、現在の登録者が継続して利用できるようにする。(田畑清二)
この日の市議会一般質問で、市側が藤井哲也市議(みんなの党大津)に対し、答弁した。おおつSNSは地域社会への住民参加などを促そうと2008年に開設され、1日現在、1824人が登録。接続数は08年の月600人前後をピークに減少し、最近では月400人程度に落ち込んでいた。サーバーリース料など年間約200万円の経費がかかっており、公募市民らによる昨年8月の事業仕分けで「廃止」と判定された。市は低迷の原因として、会員登録を招待制に限定していることや、「フェイスブック」「ミクシィ」など民間SNSの利用者が多いことなどを挙げている。
 一方、〈1〉週1回以上、同SNS上で日記を書き込む人が30人いる〈2〉複数の利用者から存続の要望があった――などの理由から、民間移行による存続を決めた。名称継続については未定。奥村節子・政策調整部長は「人と人を結ぶ会話ツールとして、初期の目的は達成した。利用者の思いを尊重して民間に継承していきたい」と話した。

本記事では,大津市が設置された「おおつSNS」というソーシャル・ネットワーキング・サービスの廃止方針を紹介.
本記事を拝読させて頂くと,同取組の廃止は,同市が実施された事業仕分けの結果を踏まえた方針の模様.「事業概要シート」を拝読させて頂くと,「平成19年9月より実証実験開始」され,「平成20年6月より本稼動」されている同取組.「登録者数」は「平成22年7月9日現在」で「1,602名」,そして,「「コミュニティ数」は「141件」あり,「平均新規登録者数」が「平成21年4月」から「平成22年3月」の1年間で「19.1名/月」,同時期での「平均利用者数」は「422.7名/月」であり,「平成21年度」の事業費実績では「2,153」*1千円であったことが分かる.同事業仕分けでは,「不要」が「5名」,「民営化(NPO,地域団体含む)」が「1名」*2との判定されている.ただ,個別のコミュニティでの「平均利用者数」,「平均新規登録者数」は,同資料からは判然とはしない(事業仕分けの当日では,説明されたのでしょうか).
「おおつSNS」では,「地域に密着した情報の受発信」,「地域の活性化」,そして「安全性」がその「特徴」とされている.特に,三つめの「安全性」という特徴の確保に配慮されてのことだろうか,「参加するには,おおつSNSに参加されている方からの招待メールが必要*3」とされており,まずもって,同ネットワーク外での「密着」が,ネットワークの利用の前提条件となる.そのため,「当初から同じ関心をもった人たちによる,同質の意図関心の再強化過程」*4への虞も内包するように考えられなくもない.もちろん,同じ関心の再強化自体は,決して悪しきことではないものの,その利用の拡大が限定されてしまう虞となるディレンマも悩ましい限り.同SNSの利用実績は,もう少し確認してみたい観察課題.