中国地方知事会(会長・石井正弘岡山県知事)は、国の出先機関からの事務・権限移譲の受け皿となる広域連合の設立に向けた検討会を設置した。政府は昨年末の閣議で2014年度から出先機関をブロック単位の地方組織に移す方針を決めている。関西や九州に比べ動きが鈍かった中国地方5県でも、広域行政の態勢づくりの議論が本格化する。
 検討会は知事会や地方分権を担当する各県の部局長5人で構成。11月28日付で設置した。年内に初会合を開く方向で調整中だ。国の動向をにらみながら、.4年度中の引き受けを求める出先機関の事務・権限の内容、広域連合の設置時期、事務局体制などを議論する。来年5〜6月にある中国地方知事会議に検討結果を報告する。移管を求める出先機関は、中国地方整備局中国運輸局中国経済産業局などが検討対象となる見通しだ。中国四国農政局や中国四国地方環境事務所など、中四国地方に管轄エリアがまたがる出先機関は四国知事会と調整する。

本記事では,中国地方知事会における広域連合設立に向けた検討会設置の取組を紹介.
2011年11月26日に開催された,中国地方知事会に「平成23年度」の「第2回知事会議」では,「中国地方における国の出先機関の受け皿となる広域的実施体制の整備に関し広域連合を中心に検討すること」が「提案」され「広域連合設立に係る検討を開始すること」が「各県知事から合意」*1.本記事を拝読させて頂くと,2011年11月28日付で「各県の部局長5人で構成」された「検討会」を設置された模様.
2011年11月25日に開催された第14回の地域主権戦略会議へ提出された配布資料3「広域的実施体制の基本的枠組みに係る検討状況(報告)」を拝読させて頂くと,「広域的実施体制の在り方」に関しても提示.同資料では,「広域連合制度を活用するための諸課題」として,「構成団体の長と兼務しない独任制の長が必要か」,「解散や脱退を法令で制限するか」,「全国のブロック割をあらかじめ法定すべきか」,「政令市の加入を法律で規定すべきか」,「効果的な事務処理の実現を図るため,国からの事務・権限の移譲と併せて,構成団体の関連する事務・権限を広域的実施体制に持ち寄るべきか」*2という論点を示されている.
現行の地方自治法第291条の2の第1項では,「国から広域連合が処理することとする場合」には,「広域連合の規模,能力,事務の範囲等により総合的に判断されるもの」であり,「広域連合を組織する地方公共団体の能力ではなく,端的に広域連合自体の能力に着目すること」*3とも解されている.出先機関からの事務権限の移管,という共通のフレーミングによる「同床異夢」*4による結びつきに留まらず,いわば,広域連合であることのみならず,広域連合としてすること(又は,したこと)からも判断されるとも整理できなくもない,
上記の諸課題からみれば,国からの事務・権限という新しい具材のための「受け皿」を揃えることに加えて,「構成団体の関連する事務・権限を広域的実施体制に持ち寄」り,これまでの各府県が処理してきた事務・権限という具材もまた盛ることが,その受け皿の活用実績を確たるものとなることを企図されているのだろうか.要確認.

*1:岡山県HP(組織総合政策局地方分権推進課)「平成23年度中国地方知事会第2回知事会議を開催しました

*2:内閣府HP(内閣府の政策地域主権改革地域主権戦略会議地域主権戦略会議会議開催状況第14回地域主権戦略会議 議事次第・配付資料(平成23年11月25日(金)))「資料3 広域的実施体制の基本的枠組みに係る検討状況(報告)

*3:松本英昭『新版 逐条地方自治法第6次改訂版』(学陽書房,2011年)1472頁(新しい改訂版を購入.来年の地方自治法改正案が国会に提出され,成立すると,来年度にもまた第7次改訂版が出版されるのでしょうか)

逐条地方自治法

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*4:城山英明「環境問題と政治」苅部直,宇野重規,中本義彦編『政治学をつかむ』(有斐閣,2011年)282頁

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