和光市は、市の厳しい台所事情への理解を深めてもらおうと、市民代表5人と共同で「財政白書」を作成した。イラストやグラフを多用し「分かりやすさ」にこだわった。同市によると、こうした資料を自治体と市民で作り上げるのは全国でも珍しいという。
 白書は本文79ページで、「地方財政の基礎知識」「和光市の財政状況」「財政指標でみる和光市財政」の3部立て。難しい用語に丁寧な説明文をつけたほか、グラフには見方のポイントを添付。財政事情を悪化させている「市民税の滞納状況」や「高齢者人口の推移」といったデータも掲載した。
 白書作りに参加した市民は、昨年2月に市が公募。「財政白書作成委員会」を作り、市財政課とともに計6回の会議を重ね、12月に白書を完成させた。委員長を務めた金治正憲さん(63)は「知識がなくても、市の財政状況を知ることができる構成になった」と話している。白書作りは、松本武洋市長が2009年の市長選で掲げた公約のひとつ。松本市長は「役所の視点と市民の視点は異なる。ハイブリッドでわかりやすい白書ができた」としている。白書は市役所や各出張所、公民館、図書館のほか、市のホームページでも閲覧できる。
 和光市は、市の厳しい台所事情への理解を深めてもらおうと、市民代表5人と共同で「財政白書」を作成した。イラストやグラフを多用し「分かりやすさ」にこだわった。同市によると、こうした資料を自治体と市民で作り上げるのは全国でも珍しいという。

本記事では,和光市における財政白書作成の取組を紹介.同市では,同白書を,「公募市民5名で構成された和光市財政白書作成委員会」*1を設置し,同白書を作成.なるほど,興味深い.策定過程では,まず第3回委員会で,前年度までに同市が策定されきた「財政白書」*2を参照すべき基準にしつつ検討された模様.
一般に,「予算関連情報」は「住民にわかりにくい」*3特性ももつ.そのため,誰にでもわかりやい平明性と,提供される情報の厳密性・精確性との間のディレンマが課題とも考えられなくもない.同委員会でも,委員の意見を踏まえて当初作成された素案の段階では,「丁寧に説明したことによって,分かりやすくでは無く長くくどくになってしまった」との意見も示され,「そのため,逆にポイントが分かりづらくなっている」*4との段階もあったことが窺える.
また,同市特有の財政構造から,委員からは,「通常,不交付団体であれば財政は豊かであろうと思ってしまう.それなのにお金が無いと言っている.この妙なギャップを市民に説明するため」*5の表現方法の改善の必要性も指摘.これには,「和光市の現状と不交付団体のメリット・デメリットも踏まえながら説明」する方針とされている.
そこで,実際に策定された「財政白書」を拝読させて頂くと,頑強な財政統計の提示に先立ち,まずは,「和光市の財政が厳しいって本当?」という問いかけから始め,次いで,歳入総額と歳出総額,基金現在高,市債現在高の10年間での推移を簡単に整理された「和光市の財政状況」を提示し,同整理から「市の財政状況が悪化傾向にあることがわかりますね」との納得を示し,そして,「財政が厳しくなった原因は何だろう?」*6と,読み手に疑問と関心を持つ導入部分を置かれている.今後,同白書がどのように読まれることになるのだろう.興味深そう.