大分市は、1963年から続けてきた「結婚相談室」を、来年3月末で廃止する。記録が残る96年から2011年度までに、149組のカップルを誕生させた県内唯一の自治体運営の結婚相談室。個人情報保護法により、利用者の需要に十分応えられなくなったことが廃止の主な理由だ。13年度からは、結婚を希望する男女に出会いの場を提供する民間のパーティーなどの助成に軸足を移す方針だ。
■カードを見直し
 「この人がどんな人かよく分からない」。大分市役所1階の結婚相談室。登録者が記入した「出会いカード」をめくっていた女性がつぶやいた。カードは空欄だらけだった。結婚相談室は、登録者がカードを閲覧して希望の相手を探し、相談員に紹介を依頼するシステム。結婚を希望する登録者の情報を相手に語りかけるこのカードを市は08年、見直した。05年の個人情報保護法全面施行がきっかけだ。記入欄から学歴と家族構成を削除。生年月日や職業、趣味、身長体重、自己PRと相手への希望に限定し、顔写真も登録者の同意がなければ閲覧ができないことになった。記入欄に書き込むかどうかも、これまでより登録者の意向を尊重する形にしたが、空欄が目立つカードが増えた。情報量が減れば「理想の異性」かどうかを見極めることは難しくなる。次第に利用者は減っていった。相談員は「勝手に相手の情報を教えるわけにもいかず、希望に沿った相手の紹介が難しくなった」と肩を落とす。
■震災で方向転換
10年の国勢調査によると、大分市の25〜39歳の未婚率は40・36%。市にとって、結婚支援は緊急の課題だ。結婚相談室には20〜70歳代の男性131人、女性170人(1日現在)が登録している。希望が一致すれば、相談員がお見合いの場所を調整。相談員は立ち会わないが、お見合い翌日と交際が始まれば月1回の経過報告を求め、トラブルが起きないよう細心の注意を払ってきた。過去10年の相談件数は毎年延べ4千〜6千件台。11年度の相談は延べ3688件で、10組が結婚したという。自治体運営という安心感と、何より無料ということで人気だった。ただ、カードが変更されたことで、利用者には不満が広がった。市民の結婚支援をどうするべきか。市が模索していたところ、11年3月の東日本大震災後に「婚活ブーム」が到来。市は12年3月、「人と人とのつながりが求められている今こそ、出会いの場を提供して若者の結婚を後押しすべきだ」(市長室)と相談室を閉鎖し、民間が主催するイベント支援にかじを切ることを決めた。
■「官民」で支援を
 民間と共同で婚活支援に取り組む自治体は、大分市だけではない。豊後高田市は、定住化促進のため市や市商工会議所などが「市婚活推進協議会」をつくり、結婚につなげた世話人に奨励金10万円、出会いの場を提供する交流会開催には5万円を支給する。豊後大野市も11年度までの2年半、市内のブライダル業者「P−BRANCH」(同市)に委託して婚活イベントを開き、4組が結婚した。同社の坂本江里子社長は「民間は年代に応じたイベントや週末の相談など、行政では手の届かないサービスができる」と話す。大分市は来年度以降、業者から婚活イベントのアイデアを募り、費用の一部を助成を検討する。5月下旬に同市府内町であった婚活パーティーを試験的に後援した。市長室の担当者は「市民の意見を取り入れながら、結婚支援や商店街などの活性化につながる企画を実行したい」と話している。

本記事では,大分市における「結構相談室」の廃止を紹介.
「本人又はその親が大分市に住民登録をしている方」で「結婚を希望する人の相談に応じて」きた同市の「結婚相談室における結婚相談業務」*1.「平成25年3月31日で事業終了(廃止)」*2.2008年〜2010年度実績を拝見させて頂くと,2008年度は,男性の相談件数が2,412件,登録件数が85件,紹介件数が1,823件,女性は相談件数が2,509件,登録件数100件,紹介件数2,525件となり,「結婚の成立件数」は11件.2009年度は,男性の相談件数は2,939件,登録件数が85件,紹介件数が2,146件,女性はは相談件数が3,073件,登録件数が135件,紹介件数2,838件となり,「結婚の成立件数」は10件.2010年度は,男性の相談件数が2,384件,登録件数が73件,紹介件数が1,766件,女性はは相談件数が2,497件,登録件数が111件,紹介件数1,779件となり,「結婚の成立件数」は9件とある.女性からの相談件数が毎年度若干多く寄せられており,また,成立件数も漸減傾向にはあるものの一定数成立してきたことも分かる.
一方で,本記事から利用者の減が廃止の理由という.具体的に歯,同時事業で用いる「出会いカード」が「個人情報保護法全面施行」に伴い「空欄」のままとなり,その結果「情報量」不足になり,「次第に利用者は減っていった」という.現在では自治体による結婚相談といういわゆる「婚活」も,むしろ「民間と類似」した「事業」として「原則として民間に委ね」*3ることになるのだろうか.