横浜市は市内4カ所の児童相談所で2012年度に新たに把握した児童虐待の件数が929人だったと発表した。現在の形で統計を取り始めた1993年以降最多で、前年に比べ109人増えた。この929人の中には、横浜市磯子区の雑木林で4月に遺体で発見された山口あいりちゃん=当時(6)=も含まれる。
 市こども青少年局によると「身体的虐待」が355人と最も多く、次いで「心理的虐待」が353人、「ネグレクト(育児放棄)」は205人、「性的虐待」は16人だった。あいりちゃん姉妹は、ともにネグレクトに含まれている。心理的虐待は前年度から103人増えているが、配偶者間のドメスティックバイオレンス(DV)を見聞きした子どもへの精神的ダメージは心理的虐待と分類されており、近年、増加傾向にある。
 児童相談所に通告した機関では、警察が最も多い337件。前年度からは115件増えた。同局は「警察と学校との連絡協議会に児童相談所も加わるようになり、連携が深まっている。警察はDV事件に関わるため、心理的虐待の発見の契機となっているのではないか」と分析している。年齢別では「3〜5歳児」が最多で191人。「0〜2歳児」は159人で、全体の約4割が乳幼児だった。虐待者別では「実母」によるものが469人。「実父」からは373人だった。

本記事では,横浜市における児童虐待の把握件数を紹介.同把握件数は,現在のところ同市HPには掲載されていない模様.掲載後,要確認.
2011年度までの把握件数は確認が可能.2011年度では,同市の児童相談所が「把握した児童虐待件数」は「820件」となり,2004年度の「837件に次いで,過去2番目に高い件数」*1であった,という.本記事によると,2012年度は「929件」と前年度からは109件の増加となり「1993年以降最多」の把握件数.また,本記事では,把握件数の増加は「警察と学校との連絡協議会に児童相談所も加わる」ことによる「他機関との連携する“場”」*2の存在が,児童虐待の顕在化に至っているという.なるほど.

*1:横浜市HP(こども青少年局こども家庭課児童相談所)『平成23年度横浜市児童相談所の児童虐待新規把握件数について

*2:手塚洋輔「児童相談行政における関係機関とのネットワーク構築」『児童相談行政における業務と専門性』(財団法人日本都市センター,2011年)30頁

日本都市センターブックレットNo.25 児童相談行政における業務と専門性―みんなで支える子どもと命―

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