東京都は31日、大規模災害や事故の際、指揮命令に当たる危機管理監(局長級)に、8月1日付で陸上自衛隊第10師団(司令部・名古屋市)前師団長の宮崎泰樹氏(57)を起用すると発表した。2003年に新設された危機管理監に外部の人材を起用するのは初めて。
 都人事部は「東日本大震災を受けて防災計画の見直しを進めており、危機管理を高めるため経験豊富な人材を起用した」としている。宮崎氏は陸上幕僚監部監察官などを経て、7月26日に第10師団長で退官した。当時の階級は最上位の陸将。陸自によると、陸将を務めた元自衛官自治体の局長級ポストに就くのは初めて。

本記事では,東京都における危機管理監職へ自衛官の就任の取組を紹介.
「危機管理監」職は,東京都組織規程第9条に基づき「総務局」に配置されており,同規程第14条に基づき「防災及び危機管理に関する事務」に関して「総務局長を補佐し,これらの事務を整理する」*1ことが分掌.同局の機構図を拝見させて頂くと*2,なるほど,特定の部課を管理監督することなく同局長の直近下位におかれ,いわば「情報収集や分析,選択肢生成をサポートする」「スタッフ」*3職であることが分かる.本記事を拝読させて頂くと,同職設置以来,「外部の人材の起用」は「初めて」とのこと.「固定相場的な人事政策」から「変動相場的な人事政策」*4化の一つ事例とも整理ができそう.「非ルーティーンの問題」*5への対処とともに,「防災計画の見直し」を通じて.同都の危機管理に関する「統合」*6化も観察できるのだろうか.要確認.

*1:東京都HP(東京都例規集データベース)「東京都組織規程」(昭和二七年一一月一日,規則第一六四号)

*2:東京都HP(各局のページ総務局人事部東京都組織図)「総務局

*3:沼上幹『組織デザイン』(日本経済新聞社)185頁

組織デザイン (日経文庫)

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*4:松井望「石原都政下の組織編成と人事政策」『都市問題』Vol.102,2011年6月,90頁

*5:ドナルド・ケトル『なぜ政府は動けないのか: アメリカの失敗と次世代型政府の構想』(勁草書房,2011年)100頁

なぜ政府は動けないのか: アメリカの失敗と次世代型政府の構想

なぜ政府は動けないのか: アメリカの失敗と次世代型政府の構想

*6:青山やすし『都市のガバナンス』(三省堂,2012年)208頁

都市のガバナンス

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