東京電力福島第一原発事故による避難市町村の町外コミュニティー(仮の町)構想について検討する国と県、関係市町村の初の協議会は22日、郡山市で開かれた。福島、会津若松、郡山、いわき、二本松の5市は仮の町構想を受け入れる方向性を示した。移住を希望する市町村と5市が個別に事務担当者会議を設け、準備を進める。早ければ年内にも避難住民が居住する災害公営住宅整備に着手する。
 避難区域が設定された12市町村のうち、富岡、大熊、双葉、浪江の4町が仮の町構想を打ち出している。協議会では平野達男復興相と佐藤雄平知事、4町を含む避難12市町村側が福島、会津若松、郡山、いわき、二本松の5市側に仮の町構想への協力を求め、5市とも受け入れる方針を示した。 今後は、県が調整役となり、仮の町構想を持つ4町をはじめとする避難市町村から移住先の要望を聞いた上で、個別の事務担当者会議を設けて準備を進める。 当面は4町と具体化に向けて話し合う。4町は約5万5000人が県内外で避難生活を送っている。
 個別の会議では、生活拠点とする土地と住宅の確保、移住を希望する住民の規模、役場機能の在り方、医療・福祉施設、教育などについて検討する。5市以外の市町村についても、避難市町村側の希望があれば個別の事務担当者会議を設ける。 県が年内にも整備に着手する500戸の災害公営住宅については、条件面の調整のついたケースから建設を開始する方針だ。 協議会の中では、受け入れ側となる5市側から国の財政支援や法的な整備を求める意見などが出された。
※仮の町 東京電力福島第一原発事故で長期の避難を強いられている住民が帰還できるようになるまでの間、まとまって住む拠点を他の地方自治体に置く構想。国は、県内12市町村の復興の在り方を示した「グランドデザイン(取り組み方針)」などで、避難自治体を受け入れる自治体に協力依頼や財政支援を実施すると明記している。県は避難者のために、仮の町で災害公営住宅の建設を優先させる方針。

 福島第1原発事故で住民の長期避難が続く福島県双葉郡8町村と南相馬、田村、川俣、飯舘の4市町村の新たな生活拠点(仮の町)の在り方を話し合う協議会が22日、郡山市で開かれ、受け入れ候補地の自治体が初めて一堂に会した。避難元市町村と受け入れ自治体が移転の期間や規模などを個別に話し合う部会を設け、2014年度からの災害公営住宅への移転を目指す方針を確認した。(3面に関連記事)
 復興相と福島県知事、避難元と受け入れ先の市町村長で構成する協議会の下に事務担当者による協議機関(全体会)を置き、個別部会は全体会での協議に向けた調整機関に位置づける。24日に全体会の初会合を開いた後、個別部会で災害公営住宅の整備方法などの検討に入る。県は25日開会の県議会9月定例会の補正予算案に災害公営住宅500戸の整備費約56億円を計上。避難元と受け入れ側の調整が付いた自治体から順次、建設に着手する。協議会には受け入れ先候補として福島、会津若松、郡山、いわき、二本松の5市が出席。このうち、いわき市には富岡、大熊、双葉、浪江の4町が生活拠点整備を希望する考えを示している。災害公営住宅の整備方針をめぐり、福島市いわき市は地域への融合を図る「分散型」を要望。一方、避難元自治体側はコミュニティー維持を重視した「ニュータウン型」を求める声が根強い。
 渡辺敬夫いわき市長は「受け入れを拒否する市民とのあつれきや温度差解消には分散型がいい」と語り、瀬戸孝則福島市長は「地域と溶け合って長期間生活し、最終的な行き先を決める場にしてほしい」と述べた。富岡町から約3100人が避難する郡山市の原正夫市長は受け入れに前向きな姿勢を示したが、「ニュータウン型か分散型かは現段階で決められない。市民の意見を聞く必要がある」と話した。受け入れ側も「地域でまとまって入居してもらうほうがいい」(田辺賢行会津若松市副市長)と考えは一様でない。平野達男復興相は「個別部会で具体的に議論してもらう」と明確な方向性は示さなかった。避難元自治体として出席した南相馬市浪江町などの受け入れ先でもあり、桜井勝延市長は「浪江町からは積極的に受け入れるが、われわれの問題はいかに市民の帰還を進めるかだ」と語った。

 災害公営住宅を受け入れ市町村の一定範囲にまとめて設置する「集中型」か、複数箇所に分ける「分散型」か−。協議会では、福島、いわきの両市が分散型での整備を強く要求した一方、二本松市は集中型を要望するなど意見が分かれた。
 福島・瀬戸孝則市長は「既に市の都市計画があり、集中型での受け入れは難しい」、いわき・渡辺敬夫市長は「集中型では閉鎖的なコミュニティーになり、周辺市民との摩擦が生じかねない」と指摘。二本松・三保恵一市長は「住民のコミュニティー、生活の利便性を確保する上では集中型が望ましい」との見解を示した。
 仮の町構想を掲げる富岡、大熊、双葉、浪江4町では双葉が集中型を希望する一方、他町には「分散型やむなし」の意見もあり、事務担当者会議での調整が難航する可能性もある。協議会終了後、佐藤雄平知事は「避難自治体、受け入れ先、住民の意見を聞き、安心できる拠点整備を進めたい」と述べた。

本記事では,広野町楢葉町富岡町川内村大熊町双葉町浪江町葛尾村南相馬市田村市,川俣町,飯舘村の12市町村と福島市会津若松市郡山市いわき市二本松市の4市,そして,福島県と復興庁との間において,長期避難者の生活拠点に関する検討協議会の開催されたことを紹介.現在のところ,福島県HP,復興庁HP内では詳細は確認できず.公表された場合には,要確認.
2012年9月22日に開催された同協議会.第二記事を拝読させて頂くと,同協議会では,「復興相と福島県知事,避難元と受け入れ先の市町村長」から構成.そして,同「協議会の下に」は,「事務担当者による協議機関(全体会)」を設置し,加えて,第一記事にて紹介されているように「生活拠点とする土地と住宅の確保,移住を希望する住民の規模,役場機能の在り方,医療・福祉施設、教育など」に関して,「避難元市町村と受け入れ自治体が移転の期間や規模などを個別に話し合う」などの「全体会での協議に向けた調整機関」である「個別部会」を設置.まず「全体会」が2012年9月24日に開催され,今後,個別部会を開催.
同協議会のもとでは,「生活拠点」として,第一記事に末尾にも解説されている,いわゆる「仮の町構想」も検討議題と置かれる模様.その形態としては,第三記事を拝読させて頂くと,同協議会の場において,「集中型」と「分散型」の二つにその具体的な見解が提示されたことが分かる.今後の全体会と個別会での協議過程と,その協議内容を補完するであろう「コアとなるしくみ」となる「二重の住民登録」*1の制度的な検討を含めて,同協議の過程は,要観察.

*1:今井照「「仮の町」構想と自治の原点」『ガバナンス』No.137,2012年9月号,25頁

ガバナンス 2012年 09月号 [雑誌]

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