総務省は21日、2013年度の地方公務員の給与削減に際し、自治体が取り組んだ行財政改革の実績を評価し、地方交付税の配分に反映させる方針を固めた。新藤義孝総務相が22日、全国知事会など地方6団体に具体案を示す。
 政府は自治体に、13年度の地方公務員給与を国家公務員並みに7.8%減らすよう要請。財務省は、1年間実施すれば、給与の財源となる地方交付税を約6000億円削減できると試算している。 
 しかし、地方側は「単に国の歳出抑制のため、自治体の自主財源である交付税を一方的に削減するのはおかしい」と猛反発している。このため同省は、給与削減で減額した交付税の一部を、自治体の需要に応じて、防災・減災や地域活性化に関する事業の経費として配分する方針だ。これらの事業に充てる交付税の算定に当たっては、各自治体が進めてきた人件費・職員数削減に関する過去の実績を重視する。行財政改革に向けて積み重ねてきた努力を客観的に評価する指標を設け、実際の交付税額の計算に反映させる。新藤総務相は、22日に具体案を示した上で、地方側との調整を進め、13年度の給与削減への理解を得たい考えだ。

本記事では,総務省における地方交付税の配分方針を紹介.
2013年1月18日に開催された総務大臣閣議後の記者会見の概要を読むと,まず,地方公務員の給与は「削減問題」であると,政府では「問題」としての認識にあり,「政府アジェンダ*1に設定されている.ただし,政府側が「強制的に何か措置をすることは,あってはならないこと」,そして,「地方との調整は総務省が当たるということ」,これにより「まずは地方の声を聞くということ」をその基本姿勢に立つともある.ただし,具体化には「いろいろなアイデア」があり,「地方の皆さんともお話合い」*2を図る予定が述べられている.
一方,本記事では,その「いろいろなアイデア」の一つを報道.具体的には,「自治体が取り組んだ行財政改革の実績を評価し,地方交付税の配分に反映」する,いわゆる「政策誘導」としての「行政改革インセンティブ*3の採用方針を報道.ただし,本記事の後段では,「各自治体が進めてきた人件費・職員数削減に関する過去の実績を重視」とも報道されている.「重視」が実績のみに基づくものではないと理解すれは,実績とともに将来も配分に加える場合,過去の実績は評価しつつ,今後,新たな削減を促すように連続した算定方式となるのだろうか,または,過去の実績は過去で評価,将来は将来と併設した算定方式となるのだろうか.今後の「話合い」と,実績と将来を踏まえた算定方式の検討過程は,要経過観察.

*1:John W. Kingdon(2002)Agendas, Alternatives, and Public Policies,Longman Pub Group,p.4.

*2:総務省HP(広報・報道大臣会見・発言等)「新藤総務大臣閣議後記者会見の概要(平成25年1月18日)

*3:佐藤主光『地方財政論入門』(新世社,2009年)303頁

地方財政論入門 (経済学叢書Introductory)

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