鹿児島県は29日、延べ1000人規模の県職員を中国・上海に派遣する短期特別研修事業を実施すると発表した。利用者減が続いている定期航空路線の鹿児島−上海便の利用率アップを図るのが狙いで、1億1800万円(1人当たり約12万円)を6月補正予算案に計上する。可決されれば7月上旬からの派遣となる。県によると、国際定期便維持のための職員研修は全国初。ただ「公金を使った一時しのぎのてこ入れ」との批判も出ている。
 同便は2002年8月から就航。一時は週4便(往復)だったが、鳥インフルエンザ尖閣諸島を巡る日中間の問題で利用者が減り、今年4月以降は週2便となった。4〜8月は13便がキャンセルされるなど低迷が続いている。研修(3泊4日)はインフラ整備の見学などで12月までを予定しており、1回につき50人が参加する。食事代やパスポート代なども県の負担で、県行政管理室は「経済的にも上海のつながりを切るわけにはいかない。職員の見聞を広めることが、県民の利益になる」と理解を求めている。
 これに対し、全国市民オンブズマン連絡会議の児嶋研二代表幹事は「利用率の低迷は需要がないから。1億円があれば、県民にどれだけより良いサービスを提供できるのか。利用率が上がったとしても一時的で、極めて時代錯誤と言わざるを得ない」と指摘した。【津島史人】

本記事では,鹿児島県における職員研修の取組を紹介.
上海派遣短期特別研修事業」の名称となる同取組では,「上海」と同「県を結ぶ鹿児島−上海線の利用状況が低迷していることなどを踏まえ」てと,「同路線を利用した1,000人規模の職員研修を実施」するもの.同取組を通じて,同県職員が「成長著しい上海の産業,都市基盤,教育等の状況を直接,体験するプログラムを通じ,改めて職員の国際感覚や幅広い視野の醸成などを図る」*1ことが目的とされている.予算額は「118」*2百万円.本記事によると,積算根拠は「1人当たり約12万円」であるとされ,「1回につき50人」概ね「延べ1000人規模」(単純に12万円とすると正確には983名でしょうか)になるという.
同県の2012年度の職員数は「25,426」名,同名のうち一般行政職は「5,207」名,教育は「15,854」名,警察が「3,386」名,「公営企業等会計部門」が「979」*3名.上記の目的では「産業,都市基盤,教育等の状況」の「体験」と限定例示的に記載されている目的ではあるものの,部門や職種に限定されることなく,同県職員に広く研修の機会が提供された取組なのだろうか.同研修事業を通じた,同職員の「技能や知識向上」*4への効果もまた,要確認.

*1:鹿児島県HP(県政情報財政・予算予算平成25年度平成25年度6月補正予算(案)の概要)「平成25年度6月補正予算(案)の概要」(鹿児島県)1頁

*2:前掲注1・鹿児島県(平成25年度6月補正予算(案)の概要)1頁

*3:鹿児島県HP(県政情報組織・人事・叙勲等人事行政鹿児島県における人事行政の運営等の状況を公表します)「鹿児島県における人事行政の運営の状況(平成23年度)」1頁

*4:稲継裕昭『地方自治入門』(有斐閣,2011年)92頁

地方自治入門 (有斐閣コンパクト)

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