県はがんの予防や早期治療に役立てようと、2012年度の市町村がん検診の受診率一覧表を作成した。市町村の受診率を比較した一覧を作ったのは初めてで、県疾病・感染症対策室のホームページで公表している。
 厚生労働省が毎年公表する受診率は分母となる対象者数の基準が市町村間で異なり、これまで比較できなかった。県は今回、同一基準の推計対象者数を求め、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸(けい)がんの男女別受診率を算出した。このうち男性の肺がん検診受診率はトップの登米市が89.81%で、最低は南三陸町の16.74%だった。乳がんでは富谷町が57.29%に対し、山元町が22.20%、子宮頸がんでも富谷町が72.57%、名取市が12.92%と開きがあった。
 県はがん検診の自己負担が無料の自治体ほど受診率が高く、受診希望者が申込票を請求しなければならない自治体は低い傾向があると分析している。広報の方法などによっても、受診率に開きが生じるとみている。県疾病・感染症対策室の担当者は「比較表を参考に、各市町村は受診率向上に努めてほしい」と話した。

本記事では,宮城県における同県に位置するがん検診の受診率公表の取組を紹介.同取組は,同県HPを参照*1
同取組では,厚生労働省が実施する「地域保健・健康増進事業報告」では「対象者数の考え方」が「各市町村により異なる」ため「一概に比較することはできないという問題」があることや,また,「乳がん検診」は「マンモグラフィ検診のみを受診した者」を「受診者数から除外しているため」「実態とは異なった検診率」にあるとして,同県では「県内各市町村のがん検診受診率を同一基準で比較・評価するための統一的な対象者数の考え方」として「推計対象者数」*2を算出し,公表する.推計対象者数は,直近の国勢調査で報告された人数を使用し,農産業従業者を就業者数から減じた人数を「市町村人口」からさらに減じた値となる.
「事実の提示」*3のための数値は,その定義により異なることが窺える同県の取組.統一された定義による数値の公表による,がん検診の受診率の動向は,要観察.

*1:宮城県HP(分類でさがす健康・福祉保健・医療・福祉全般保健・医療・福祉全般)「本県のがん検診受診率

*2:前掲注1・宮城県(本県のがん検診受診率)

*3:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣,2010年),195頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

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