昨年7月に業務を開始した新築の神奈川県平塚市役所本庁舎で、住民登録や年金などの窓口業務の集中する1階にトイレがなく、市民に不便を強いていることから、市は約5カ月後の11月末、正面玄関前に仮設トイレを設置した。2年後に完成する隣接の別庁舎1階にトイレが設けられるため、「それまでは2階のトイレでしのげると思っていた」という。設置費は約1200万円。市の“誤算”で思わぬ出費が生じた格好だ。【渡辺明博】
 本庁舎1階は転出入や印鑑登録などを担当する市民課のほか、保険年金課、高齢福祉課、障がい福祉課、こども家庭課などの窓口が集まり、来庁者が最も多い。にもかかわらず、トイレやおむつ交換のできる授乳室などがなく、利用するには階段やエレベーターで2階まで上がらなければならなかった。市の庁舎建設は昨年5月に本庁舎建設を含む1期工事が完了し、2017年3月までに3階建ての別庁舎建設を含む2期工事が完了することになっている。トイレや授乳室は本庁舎と隣接する別庁舎の1階に整備されるため、本庁舎1階には必要ないと市は考えていた。
 ところが1期工事完了後、市幹部の下見で本庁舎1階にトイレがないことが大きな問題となり、市は急きょ、業務開始直前の昨年6月に仮設トイレ設置を決めた。実際、業務開始後早速、高齢者や子育て中の女性などから「急いでいるときに2階まで行くのは不便だ」「遠すぎる」との声が相次いだという。仮設トイレは鉄骨製のプレハブで約24平方メートル。給排水が必要なため、地下に配管のある正面玄関前に設置することになった。2年後に公園トイレなどとして再利用することを検討しているが、この場合は新たに移設費が必要になる。新庁舎建設に際し、市は仮設部分を極力少なくし、経費削減を図るとしていた。市庁舎管理課は「全工事完了後の最終形である設計図にばかりとらわれ、思いが及ばなかった」と釈明している。

本記事では,平塚市における庁舎整備の状況を紹介.
本記事によると,主要な「窓口業務」が配置されている「本庁舎1階」に「トイレがな」い状態にあることを紹介.実際に,同市の庁舎案内図を確認してみると,1階には「市民課」「保健年金課」「障がい福祉課」「高齢福祉課」「福祉総務課」「高齢福祉課」「子ども家庭課」とともに「多目的スペース」*1を配置されており,本記事が紹介する「男子トイレ」「女性トイレ」*2介護保険課と会計課が配置される2階に設置されている.2014年5月21日の「1期工事完成」時の庁舎の画像からは,同階「南側にある多目的スペース」*3では,多くの来館者の利用も窺えそう.
「住民動線の適切な設計」*4が肝要な庁舎空間の整備.今後の利用状況は,要観察.

*1:平塚市HP(市政の情報市役所のご案内庁舎案内(フロアマップ)各庁舎案内)「本館のご案内

*2:前掲注1・平塚市(本館のご案内)1頁

*3:平塚市HP(市政の情報新庁舎建設)「 新庁舎 1期工事完成

*4:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『第3版 ホーンブック地方自治』(北樹出版,2014年)192頁

ホーンブック 地方自治[第3版]

ホーンブック 地方自治[第3版]