兵庫県芦屋市が来年4月からの施行を目指す「屋外広告物条例」で、芦屋市役所本庁舎の市章が、市内で全面禁止する「屋上広告」に該当することが分かった。条例に抵触する可能性があるため、市は「まず自ら襟を正す必要がある」と撤去を決定した。来年度中にも取り外される見通しで、市役所に市章がない異例の庁舎になる可能性も出てきた。(前川茂之)
 芦屋市は日本有数の高級住宅地として知られ、低層で落ち着いた住環境を守ろうと、日本一厳しいといわれる京都市をしのぐ同条例案を12月議会にも提案する予定。来年4月1日からの施行を目指す。
 条例骨子案では、芦屋市内全域で屋上広告や建物壁面の突き出し看板を禁止。看板や広告文字の大きさを制限するほか、赤や青、黄色など原色の使用も禁じ、アドバルーンも全面禁止にする。
 しかし、この基準に照らすと、本庁舎北館と南館の屋上に掲げられた市章(直径約1・6メートル)が禁止された「屋上広告」に該当すると判断された。市章はシンボルマークとして、ほとんどの自治体が庁舎に掲示。芦屋市は夜間になればバックネオンが光るタイプで、北館は設置する場所がなく、撤去することを決めた。南館の市章は移設が可能かを検討しているという。市都市計画課の東実(あずまみのる)課長は「市役所だからといって無理して市章を付ける必要はない」ときっぱり。12月議会に撤去費用を盛り込んだ議案も提案する予定だ。
 また、市関連ではほかにも、市有地の売却広告や交通安全を呼び掛ける横断幕などが色や大きさの規制にかかる可能性が高いという。条例施行に向け、庁内だけでなく、兵庫県からも問い合わせが相次いでおり、東課長は「民間にも負担をお願いする以上、行政側が率先して直していきたい。景観を守り、なおかつ効果的な広告を考えてほしい」と呼び掛けている。
 【芦屋市屋外広告物条例骨子案】 市内を9地域に分け、看板の大きさ、掲示位置、色などを細かく規定して規制。経過措置は最長10年で、既存の看板はその間の撤去を求める。報告しない場合や市の撤去命令に違反した場合は、最高で「50万円以下の罰金」を科す。

本記事では,芦屋市における屋外広告物条例案を紹介.
2014年4月の景観行政団体への移行に伴い,現在の「兵庫県屋外広告物条例」による「市内の屋外広告物の規制」を実施するなかで,「県下一律の基準ではなく,芦屋のまちにふさわしい基準の策定が必要」との認識から同「条例の制定」*1を進める同市.同条例案では,「用途地域やまちなみ景観を指標」に「地域ごとに細かいゾーニングを行い」,それぞれの地域の「特性にに応じた規制」*2する.屋外公広告物では「色彩や文字の大きさ,面積の制限などを強化」するとともに,「規模が大きすぎる広告」や「建築物のデザインを乱す可能性のある広告物」を「原則」「禁止」*3とする.
本記事では,同市の庁舎に掲げられた「市章」が「建築物の高さを超えて設ける」「屋上広告」*4に該当するとして,「撤去」の方針であることを紹介.規制主体自らの「迅速かつ毅然としたち合おう」*5と整理ができそうな同取組方針.同規制の制定後の実施状況は,要観察.

*1:芦屋市HP(くらし市民活動・地域・ボランティア市民参画パブリックコメントの募集と結果パブリックコメントの募集と結果(平成27年度)芦屋市屋外広告物条例の制定に関する市民意見募集の結果)「芦屋市屋外広告物条例(骨子)に関する意見の募集について

*2:前掲注1・芦屋市(芦屋市屋外広告物条例(骨子)に関する意見の募集について)1頁

*3:前掲注1・芦屋市(芦屋市屋外広告物条例(骨子)に関する意見の募集について)1頁

*4:前掲注1・芦屋市(芦屋市屋外広告物条例(骨子)」に関する意見の募集について)3頁

*5:礒崎初仁『自治政策法務講義』(第一法規,2012年)256頁

自治体政策法務講義

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