大型ショッピングセンターなど一定規模を上回る集客施設について、兵庫県は従来の出店時に加え、閉店・閉鎖時にも事前に届け出を義務付ける制度を新設することを決めた。人口減少やインターネット通販の拡大で、今後は大型店舗の撤退が増えると想定。廃止店舗の利活用法や管理方針を事前に把握し、周辺地域の安全や景観などへの悪影響を防ぐことを狙う。
 大型店をめぐる対応は、出店時の交通対策や周辺商業者への配慮が中心だったが、人口減少の加速を受けた施策の転換ともいえる。県によると、都市機能の調和や維持を目的にこうした届け出制度をつくるのは、都道府県で初めてという。
 制度化には、大規模集客施設条例の改正を想定。検討中の条例改正案では、床面積が5千平方メートルを超える店舗が施設の全てを閉店・閉鎖する場合、3カ月前までの届け出を義務付ける。対象店舗の所有者は廃止日と理由のほか、後継店舗の有無や空き施設の維持管理方法などを県に報告することが必要になる。
 届け出があれば、県は店舗がある市町に内容を通知する予定。改正案には、廃止後の施設側の対応が不十分と認めれば、知事が必要な要請をできる項目も盛り込んだ。
 神戸市には独自に同様の条例があり、同市内の施設は対象外。県内では阪神、播磨地域を中心に約130施設が対象になると見込んでいる。
 県は条例改正案を来年2月に県議会に提案する方針で、10月施行を目指す。改正案の骨子を県ホームページで公開しており、24日までパブリックコメント(意見公募)を行う。県都市計画課TEL078・362・9296

本記事では,兵庫県における「大規模集客施設の立地に係る都市機能の調和に関する条例」*1の改正案を紹介.
改正案では,「今後,閉店・閉鎖する集客施設が増加することが予想」されるなか「規模の大きい集客施設が閉店・閉鎖する場合」には「適切な対応がなされなければ,周辺地域 の都市機能に悪影響を及ぼすおそれがある」と判断し,「届出制度の創設」*2を追加.
具体的には,「物品販売店舗,飲食店,映画館,劇場又は観覧場の用途に供する部分の床面積が 5,000㎡を超える大規模集客施設」に関しては,「閉店・閉鎖をする日の3か月前まで」に「大規模集客施設の名称及び所在地」,「廃止日,廃止理由」 「廃止をした後の施設の利用計画(後継店舗の予定有無等),維持管理方法」を「知事に届け出なければならない」*3とする.「知事」は「廃止の届出があったとき」「当該施設が存する市町の長に届出内容を通知」*4をする.また,「廃止後の対応が適切でないために周辺地域の都市機能に悪影響を及ぼすと認めるとき」には「設置者に対し」「必要な要請をすることができる」*5ともある.
本記事では,2015年「12月4日」から同年「12月24日」*6までの間,パブリックコメントを実施していることを紹介.「「共同性」を維持・展開する」「「規制力」の重要性」*7を示す同改正案.今後の検討過程は,要経過観察.

*1:兵庫県HP(まちづくり・防災まちづくりまちづくり指針・活動大規模集客施設の立地に係る都市機能の調和に関する条例(大規模集客施設条例)改正骨子(案)に関する県民意見提出手続(パブリックコメント手続)について)「大規模集客施設の立地に係る都市機能の調和に関する条例

*2:兵庫県HP(まちづくり・防災まちづくりまちづくり指針・活動大規模集客施設の立地に係る都市機能の調和に関する条例(大規模集客施設条例)改正骨子(案)に関する県民意見提出手続(パブリックコメント手続)について)「大規模集客施設の立地に係る都市機能の調和に関する条例改正骨子(案)」1頁

*3:前掲注2・兵庫県(大規模集客施設の立地に係る都市機能の調和に関する条例改正骨子(案))2頁

*4:前掲注2・兵庫県(大規模集客施設の立地に係る都市機能の調和に関する条例改正骨子(案))2頁

*5:前掲注2・兵庫県(大規模集客施設の立地に係る都市機能の調和に関する条例改正骨子(案))2頁

*6:兵庫県HP(まちづくり・防災まちづくりまちづくり指針・活動)「大規模集客施設の立地に係る都市機能の調和に関する条例(大規模集客施設条例)改正骨子(案)に関する県民意見提出手続(パブリックコメント手続)について

*7:谷口功一『ショッピングモールの法哲学 市場,共同体,そして徳』(白水社,2015年)72頁,73頁

ショッピングモールの法哲学: 市場、共同体、そして徳

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