県は、政令市との「二重行政」を解消するため、横浜、川崎、相模原の各政令市との間で事務処理のあり方を議論する「調整会議」を来年4月に設けることを決めた。県と政令市が事務処理で競合することなく、最少の経費で最大の効果を上げるという狙いがある。
調整会議は、昨年5月に成立した改正地方自治法に基づき、道府県と政令市が同じ事務や事業を行うことを防ぐために話し合う。対象として公営住宅、図書館、体育館といった公共施設の整備や子育て支援、就労支援などが想定される。知事と政令市長のほか、必要に応じて議員や学識経験者が参加し、意見がまとまらない場合は総務相が勧告する。
県は現在、3政令市との間で、共通課題の解決を目指す4首長懇談会を設けているが、調整会議は別の位置づけとなる。
二重行政の解消を巡り、横浜市の林文子市長は、政令市が県から全ての事務と権限の移譲を受ける「特別自治市」の創設を提唱している。これに対し、県広域連携課は「医療や防災など全県的な対応が必要な分野があるほか、県には隣接する東京などと広域的な連携を図る役割もある」と意見が分かれている。
本記事では,横浜市,川崎市,相模原市と3市が位置する神奈川県との間で調整会議を設置する方針を紹介.
地方自治法第252条 の21の2第1項に基づき「指定都市及び包括都道府県の事務の処理について必要な協議を行うため」に設置が求められている「指定都市都道府県調整会議」*1.従来「指定都市と包括都道府県の間で会議が設置されている場合」「当該会議」が「改正法により設けるものとされた指定都市都道府県調整会議と同様の性質を持つもの」である場合,「当該会議を指定都市都道府県調整会議として位置付けることも可能」*2との理解が示されてきたなかで,本記事によると上記4市県では従来の「4首長懇談会」*3とは「別の位置づけ」として同会議を設ける模様.
また,「一の都道府県内に複数の指定都市がある場合」には「指定都市都道府県調整会議は各々の指定都市と包括都道府県の間で設ける」ものの「協議内容が互いに関連するなど」「関係地方公共団体が適当と認める場合」は「同時に開催することも考えられ」*4るとの理解も示されている.本記事では「各政令市との間」と報道されており,「同時」の開催の有無は判然とはしない.
同会議の場の設定を踏まえた,市県間での「たちの悪い問題」*5への市県間での連携による対応の成果は,要確認.
*1:総務省HP(所管法令等:通知・通達)「地方自治法の一部を改正する法律の公布について(通知)」(総行行第 87 号 総行住第 51 号 総行市第179号 平成26年5月30日)3頁
*2:前掲注1・総務省(地方自治法の一部を改正する法律の公布について(通知))3頁
*3:神奈川県HP(電子県庁・県政運営・県勢:地方分権・自治・外交:広域行政)「県・横浜・川崎・相模原四首長懇談会」
*4:前掲注1・総務省(地方自治法の一部を改正する法律の公布について(通知))3頁
*5:伊藤正次「自治と連携 自治体間連携の理論的基礎に関する一考察」『地方自治』No.817,2015年12月号,10頁