東京都は19日、世界一の環境先進都市の実現に向けた新たな政策目標を決めた。2030年までに電力に占める再生可能エネルギーの利用比率を30%程度に引き上げ、燃料電池自動車(FCV)は20万台を普及させる。数値目標は3月末をめどに8年ぶりに改定する環境基本計画に盛り込む。五輪を開く20年の先を見据え、持続可能な環境配慮型都市を目指す。
 都内の再生エネの利用比率は14年度時点で8.7%にとどまっている。都は中小企業や家庭の省エネルギー支援を進めてエネルギー消費の総量を減らす一方、小水力やバイオマスなどクリーンエネルギーによる発電量を拡大。全体として再生エネを30%程度に高める。
 再生エネの比率を30年度に22〜24%とする国の目標を上回る。舛添要一都知事は19日の記者会見で「環境の面でも国をリードしていく」と意欲を示した。
 水素エネルギーの活用も加速する。走行中に二酸化炭素(CO2)を排出しないFCVは都内だけで20万台普及させる。自動車業界では先行したトヨタ自動車に続いてホンダが3月、量産モデルを発売する。都は400億円規模の基金を活用して個人や企業の購入を補助し、初期需要を喚起する。
 FCVの普及に欠かせない水素ステーションの拡大も後押しする。現在は都内で8カ所にとどまるが、150カ所まで広げる計画だ。水素充填機と公道の間に確保する距離などの規制を緩和するよう国に働きかける。ガソリンスタンドを運営する中小事業者への開設支援にも力を入れていく。
 温暖化ガスは30年までに00年比で30%減らす。部門別の削減比率は産業・業務で20%、家庭で20%、運輸で60%。FCVや電気自動車などのエコカーを増やす。タクシーでは、エコカーに限って高齢者や障害者に対応した車両を導入する費用を補助する新たな制度も設ける。

本記事では,東京都における環境基本計画に関する検討状況を紹介.
同都に設置されている環境審議会では,2016年2月19日に「東京都環境基本計画のあり方について」*1を答申.同答申では,「「世界一の環境先進都市・東京 の実現」を目指す必要」*2との認識の下,「最高水準の都市環境の実現」,「サステナビリティ」,「連携とリーダーシップ」の「3つの要素・ 視点を踏まえ」た「政策展開」*3の必要性を提案.加えて,「東京都長期ビジョン」において設定した政策目標との整合」や「2020年と2030 年をターゲットとした政策目標の設定が望ましい」*4とし,本記事でも紹介されている通り,各分野での「あるべき姿」を提示している.同計画内で設定される「環境基準」*5の実施状況は,要観察.

*1:東京都HP(これまでの報道発表2016年02月)「東京都環境基本計画のあり方について 東京都環境審議会 答申」(平成28年2月19日 環境局)

*2:東京都HP(これまでの報道発表2016年02月東京都環境基本計画のあり方について 東京都環境審議会 答申平成28年2月19日 環境局))「東京都環境審議会 東京都環境基本計画のあり方について (答申)」(2016(平成28)年2月)17頁

*3:前掲注3・東京都(東京都環境審議会 東京都環境基本計画のあり方について)18頁

*4:前掲注3・東京都(東京都環境審議会 東京都環境基本計画のあり方について)20頁

*5:北村喜宣『環境法』(有斐閣,2015年)74頁

環境法 (有斐閣ストゥディア)

環境法 (有斐閣ストゥディア)