有識者らで構成する東京都税制調査会(会長・池上岳彦立教大教授)はこのほど、地方創生に取り組む自治体に寄付した企業を税制面で優遇する「企業版ふるさと納税」の抜本見直しなどを求めた2016年度の答申をまとめた。
 小池百合子知事の代理で答申を受け取った川澄俊文副知事は「都が直面する諸課題に的確に対応するため、国に対し主張すべきは主張する」と述べた。
 答申は、地方税の充実を求めた上で、地域間の偏在小さく、安定した税収が見込める地方消費税が、「自治体運営を支える自主財源にふさわしい税」と明記。企業版ふるさと納税については、受益に対する負担という地方税の原則に反するとして、抜本見直しを提言した。

本記事では,東京都における「東京都税制調査会」の答申内容を紹介.
東京都に設置された同調査会では,2016年10月27日に「平成28年度東京都税制調査会答申」*1を答申.本記事では,「地方創生応援税制」いわゆる「企業版「ふるさと納税」」*2に関する内容を紹介.同答申では,「企業が立地していない地域への税収移転は,受益に対する負担という地方税の原則に反する」*3とし,「国の認定によって,実質的に地方税の納付先が変わるという制度は,地方の課税権の侵害につながるものである」こと,さらには「法人税交付税原資でもありm交付税財源に影響を及ぼすなど」とし同「制度は多くの問題点を含んでいる」*4との問題認識が示されている.
これらの認識のもと,同答申では,「地方創生を進める取組の一つである企業版「ふるさと納税」は,税制の本質を歪める場当たり的な措置であり,抜本的に見直すべきである」*5と答申する.「ふるさと納税」制度に対しての同制度利用の「勢い」*6も,要観察.

*1:東京都HP(都政情報都政組織情報東京都の組織・各局のページ主税局審議会等東京都税制調査会)「平成28年度東京都税制調査会答申」(平成 28(2016)年10月27日,東京都税制調査会

*2:前掲注1・東京都(平成28年度東京都税制調査会答申)34頁

*3:前掲注1・東京都(平成28年度東京都税制調査会答申)34頁

*4:前掲注1・東京都(平成28年度東京都税制調査会答申)35頁

*5:前掲注1・東京都(平成28年度東京都税制調査会答申)35頁

*6:片山善博『民主主義を立て直す』(岩波書店,2015年)146頁