若手議員のなり手を確保しようと、50歳以下の議員報酬を増額する条例を定めていた長崎県小値賀町議会(定数8)は15日、この条例廃止案を賛成多数で可決した。町民に「カネ目当てで議員を目指す人が出る」との批判が強く、来年春の町議選を控え、むしろ若手の新人が立候補しづらくなりかねないと判断した。地方議員のなり手不足が深刻化する中、全国の注目を集めた試みは3年で消えることになった。
 条例は、九州で最低ランクの月額18万円の議員報酬を50歳以下に限って30万円に上乗せする内容。年齢で議員報酬に差をつける全国でも異例の試みで、2015年3月に成立した。ただ、統一地方選として行われた翌月の町議選は、立候補した9人の最年少が57歳で、該当者は出なかった。町議は現在、全員60〜70代となっている。
 町議会は選挙結果を受け、条例の問題点を議論。来春の町議選への影響を考慮し、廃止案が議員提案された。この日の本会議の採決は賛成5人、反対2人だった。町議会は今後、年齢ではなく、子育て世代など議員の立場に応じた手当の導入を検討するという。
 立石隆教議長は「町民に真意が伝わらなかった部分があった。住民向けの報告会を増やすなど、魅力ある議会になるための地道な改革も進めたい」としている。

本記事では、小値賀町における議員報酬の取組を紹介。
2015年3月13日付の本備忘録でも記録した、同町が2015年3月に可決した「当分の間、議会議員のうち年齢満50年以下の者の議員報酬は、月額30万円とする」ことを規定する「地方創生の推進のための小値賀町議会議員の報酬及び費用弁償等に関する条例の特例を定める条例」*1。本記事で紹介されている通り、成立後3年となる2018年3月に開催された「平成30年定例3月会議」に同「条例を廃止する条例」が提出され、同年同月15日に「原案可決」*2。「自治体間の差」*3ではなく、議員間での差を設けた同町の報酬等の取組。本記事によると、同条例施行後に実施された「町議選」での「該当者は出なかった」模様。廃止後に検討が予定される「手当の導入」の検討状況は、要観察。

*1:小値賀町HP(町政小値賀町例規集)「地方創生の推進のための小値賀町議会議員の報酬及び費用弁償等に関する条例の特例を定める条例」

*2:小値賀町HP(小値賀町議会議案及び議決結果)「平成30年定例3月会議 議案審議の結果

*3:北村亘、青木栄一、平野淳一『地方自治論 2つの自律性のはざまで』(有斐閣、2017年)39頁。

地方自治論 -- 2つの自律性のはざまで (有斐閣ストゥディア)

地方自治論 -- 2つの自律性のはざまで (有斐閣ストゥディア)