小池都知事、神宮外苑の樹木保全を要請 再開発事業者に(日本経済新聞2022年5月27日) 

 東京都の小池百合子知事は27日の記者会見で、神宮外苑の再開発を担う三井不動産など4事業者に対して「都民の共感と参画を得ながらまちづくりを推進するよう要請した」と明らかにした。再開発に伴う樹木伐採を巡り、都民らから賛否両論の声が寄せられているため、自然環境の質の維持に努めるよう強調した。

具体的には樹木の状態を調査・公表し、施設の設計を工夫することなどで保存や移植を進めることを求める。神宮外苑が国民の献金・献木で造営された歴史を踏まえて、再整備でも都民参画に取り組むこと、具体的な整備計画などを詳細に情報発信することも求めた。

同事業は環境影響評価(環境アセスメント)手続きに入っており、都知事は6月上旬までに事業者に審査意見書を送付する必要がある。5月26日に開かれた都環境影響評価審議会の部会では、事業者による追加の情報提供が必要として評価書案の総括審議を見送っていた。

小池氏は「事業者に必要な資料を提出し、真摯に対応するよう主管局を通じて求めている」と述べた。

事業者は情報発信を強化するために「神宮外苑地区まちづくり」サイトを立ち上げ、サイト内で今後検討する具体的な整備計画などを順次公表するとしている。

本記事では、東京都における神宮外苑地区のまちづくりに対する対応を紹介。

同都では、2022年5月26日に、同都知事から「4事業者」に対して、「東京都知事名で神宮外苑地区におけるまちづくりに関する要請」*1を要請。

同要請では、次の5つを求めている。一つめは、「都が定めたまちづくり指針や都市計画の内容を踏まえて、魅力的なスポーツ施設の集積と誰もがスポーツに親しめる環境の整備、みどりの充実とオープンスペースの確保、にぎわいの創出、歴史や地区特性を生かした景観形成、防災 性の向上などに取り組むこと」、二つめは「民間有志の呼びかけによる国民からの献金、献木などで造営された外苑の成 り立ちを踏まえ、再整備に当たっても、幅広い都民参画に取り組むこと」、三つめは、「既存樹木については、複数の樹木医の意見も聴きながら、樹木の状態などを詳細に調査・公表し、設計の工夫などにより極力保存又は移植するなど、一本 一本を大切に扱い、神宮外苑の豊かな自然環境の質の保全に努めること」「とり わけ神宮外苑の象徴である4列のいちょう並木の保全には万全を期すこと」、四つめは「まちづくりに対する都民の共感が得られるよう、具体的な整備計画や都民参画の取組などの詳細な情報をわかりやすく発信すること」、五つめは「ゼロエミッション東京」の実現に向けて、高効率の設備機器の導入や、再生可能エネルギーの積極的な活用などに取り組むこと」、最後に「 「社会の宝」である子供たちが笑顔で一杯になるまちづくりを目指して、子供がスポーツやみどりに親しめる機会の創出、子供目線に立った施設整備などに取り組むこと*2とされている。

「民間に委ねられた」*3なかで整備された同外苑。同要請に基づく今後の動向は、要観察。