武蔵野市の住民投票案、有識者会合で議論スタート 2年前に否決(朝日新聞2023年7月6日)

 市自治基本条例に基づく住民投票制度の創設に向けて、東京都武蔵野市有識者懇談会での議論が始まった。2021年に市が提出した条例案は、外国籍住民も投票資格者とする内容を巡って激しい議論となり、市議会で否決された経緯がある。市は、懇談会で論点を整理し、新たな提案につなげる方針だ。

 懇談会は4日夜に初会合があり、憲法学や行政学に詳しい大学教授や名誉教授の5人が委員として参加。座長に小早川光郎・東京大名誉教授が選ばれた。

 住民投票条例案を巡っては、市議会での否決後に松下玲子市長が「いちから議論し、ゼロから作り上げる」と方針を表明した。市は、懇談会での論点整理の後に、市民による「熟議」の場を設け、それらの意見をもとに新たな条例案をつくるとしている。

 4日の会合では、市側が経緯などを説明。21年に提出した条例案について「住民投票も一種の参政権日本国籍を有する人しか認められない」という意見があった一方、「地方自治法上の『住民』は国籍で分けていない。区別せずに認めるべきだ」という意見もあったと紹介した。

 委員のうち、岡本三彦・東海大教授は「投票資格者の範囲と同時に、(住民投票が)何を対象とするかが重要になるのかもしれない。純粋に市のことだけなのか。いくらでも解釈できるとなると、『国政も』という議論になる」と指摘。新村とわ・成蹊大教授も否決された条例案について「(住民投票の)対象の決め方について、いろんな解釈が取れてしまった。ここについて、より詳細に検討すべきではないか」と述べた。

 木村草太・都立大教授は「参政権投票権は何が同じで、何が違うか、『そもそも論』をきちんと議論することも必要。条例における住民投票の趣旨や目的が何かも、論点を整理しておいた方がいいのでは」と話した。

 市によると、懇談会は今後、年内に少なくとも4回開催し、今年度末まで続く見込み。懇談会で出た意見は結論として一つにまとめず、「その後の議論の材料にする」(市担当者)としている。(塩入彩)

本記事では、武蔵野市における住民投票制度の取組方針を紹介。

の各本備忘録で記録した同市の同取組。同市では、「住民投票制度の確立に向けた論点整理を行う」目的から「武蔵野市住民投票制度に関る有識者懇談会」*1を設置。

今後は、「総論」として「常設型住民投票制度の意義」「二元代表制との関係(議決の要否、尊重義務など)」、「各論」では「成立要件」「対象事項」、「署名数、署名期間、署名・投票運動、情報提供」、「住民投票の執行者等手続きに関するその他の論点」「投票資格者」などの「考え方」の「整理」*2が行われる模様。

「充分慎重な検討の上に一般的な制度化」*3にむけた論点を検討される同懇談会。検討状況は要観察。