藤沢市議会は28日の本会議で、副市長を1人増員して3人とする条例案と新たに就任する3人の選任案をいずれも賛成多数で議決した。4月1日に就任する。県内の政令市以外で副市長3人制は相模原だけ。選任されたのは▽元市財務部長で市興業公社社長の新井信行氏(61)▽市経済部長の花上誠一氏(59)▽県県土整備部長の山田秀一氏(60)海老根靖典市長は任期の4年間で退職手当を含めた人件費が8713万円増えることを明らかにした。議員からは「職員削減と整合しない」などの反対意見が出た。【山田研】

同記事では、藤沢市において,副市長を従来の2名制から3名制への改正が議会で同意されたことを紹介.
2006年の地方自治法改正によって,助役からその名称が副市長に改められた.あわせて,その職務において「政策及び企画をつかさど」る(地方自治法第167条1項)が加えれた.これは,「長を支えるトップマネジメントの強化の観点から,内部的な長の補佐といつたイメージにとどまらず,より積極的に長の命を受けて政策及び企画について,長の意向を踏まえて政策判断や関連する重要な企画を職務として担当することとした」*1とある.ある全国調査結果からは,地方自治法改正後2年を経過した段階では,市長から副市長へ委任される事務の変化(所掌事務)はまだ見られていないとの結果もある.
ただ,増員した場合,そこに就く方が何者であるのかにより,その庁内外へのプレゼンスが異なってくることが想定される.一般的には,従来は,収入役に就いていた(くであろう)職員が,副市長に就任するパタンが,暫くは主流となることが予測される.ただ,増員枠を設けることは,市町村職員外からの就任機会の増加も想定される.助役制の時代にも,複数助役制を採用していた都市自治体では,県や国の府省出身者からの就任事例が多かった*2とある.となると,増員枠は,都道府県職員(国の府省出身者)の就任(固定)ポストとなることも想定される.地方自治法改正時より,第167条1項にいう「政策及び企画」概念が如何なるものであり,副市長がそれを具現化する実態が判然としなかったので,各種様々な人材の就任により,その具現化の様子を暫し観察してみたい.

*1:松本英昭『新版逐条地方自治第4次改訂版』(学陽書房,2007年)520頁

新版 逐条地方自治法

新版 逐条地方自治法

*2:田村秀『自治体ナンバー2の役割』(第一法規,2006年)57〜58年.国からは国交省出身者がダントツに多いことは興味深い

自治体ナンバー2の役割―日米英の比較から

自治体ナンバー2の役割―日米英の比較から