厚生労働省社会保障審議会少子化対策特別部会は24日、認可保育園の入園先を市区町村が割り振る現在の仕組みを変更し、親が保育園を選んで直接申し込める新制度の導入を求める中間報告をまとめた。厚労省は早ければ2009年度の関連法改正を目指す。
 市区町村の判断で自宅から遠い保育園に入園させられるといった親の不満を解消し、早朝や夜間勤務の家庭、パート勤務の主婦らも利用しやすくするのが狙い。ただ、待機児童を大幅に減らすためには、都市部での保育園不足の解消に向け新規事業者の参入促進などが課題となっている。
 現在、保育園への入園は、市区町村が親の希望を受けて昼間の就労時間などに基づき優先順位を付けて割り振っている。新制度では、親の申し出を受けた市区町村が必要と判断すれば「認定証明書」を交付。保護者は自分で選んだ保育園に証明書を提出し、直接入園を申し込む。親が低所得などで不利益を受けないよう、保育園には定員オーバーなどの正当な理由がなければ申請を受け入れることを義務付けた。母子家庭や子どもが虐待を受けているケースの優先的な受け入れ義務も定めた。

同記事では,厚生労働省に設置された社会保障審議会の少子化対策特別部会において,中間報告を取りまとめたことを紹介.2009年2月20日付の本備忘録でも取りあげた同部会での審議の中間的成果.同省同審議会同部会のHPには,現在のところ,未掲載*1,早く確定版を拝読したい.いわゆる「措置から契約へ」の流れが,「まず児童福祉法の改正(1997年)によって保育所の入所から行われ」*2,その後,介護保険制度,障害者支援費制度と適用された,と捉えるならば源流回帰の改革ともいえそうか.興味深い.
第21回の同部会配布資料からは,「地方公共団体の適切な関与の下で,誰もが,どこに住んでいても,必要なサービスを選択し,利用できるようにすることが必要」との「普遍性」の「要素」(2頁)に基づく制度化の提案である様子.特に,同記事にもある「認定証明書」に関しては,「他の社会保障制度(医療・介護・障害)においては,近年の改革もあり,行政による認定等によって客観的にサービスの必要性が認められた者に対しては,例外なく受給権が生じ,受給権に基づくサービス利用に伴う費用の支払いを,保険者又は行政が義務的に行う仕組み」*3とあるように,他の制度と間との補完性からの制度化ともいえそう.
同報告書内では,2009年2月24日付の毎日新聞による報道にもあるように,「保育所を認可する制度を改め,最低基準を満たす施設はすべて認可保育所とする方式を提案」*4もされているとある.これは,上記と同様に,第21回の同部会配布資料からは,「認可の裁量性による新規参入抑制」(9頁)があったとの制度運用への認識とともに,他の社会保障制度である「介護・障害」においては,「従来は,新規の事業者参入に対し,行政が幅広い裁量を有する仕組み」であったものの,「近年の改革により」,「利用保障の強化(行政による客観的な認定に基づく受給権の付与)とも併せ,客観的な基準を満たした事業者に対する裁量性のない指定制を導入した」ことで,「飛躍的なサービス量の拡充」がなされたとの認識が示されており,主に量的緩和を想定された制度化の模様.2009年2月9日付の本備忘録及び2009年2月11日付の本備忘録でも指摘した「認証制度の叢生」に近い制度となるのだろうか,これまた興味深い.ただ,利用者側とすれば,量的緩和とともに,各提供者側の「属性を知る」ためにも「スクーリニング」*5への要望(質的規制)もあるように考えられるが,今後,どのような制度化に至るのだろうか.要経過観察.