佐賀空港の東京便5往復化実現に向け古川康佐賀県知事は12日、秀島敏行佐賀市長に、首都圏に出張する市職員の空港利用率100パーセント達成など、空港利用促進を要望した。
 08年度の福岡南西部や県西部を含む佐賀空港半径20キロ圏域の空港利用率は27・6%で、うち佐賀市民は41%だった。古川知事は昨年11月の東京便増便で、圏域の潜在需要は高いとして、(1)職員出張時の佐賀空港100パーセント利用(2)佐賀市役所のマイエアポート宣言(3)市報や市主催行事での市民への広報−の3点を要望した。秀島市長は「知事に負けないよう市民に利用をPRする」と約束。近く「マイエアポート宣言」する方針を示した。市は空港利用促進に向け昨年3月、旅費規程を見直し、東京便始発を利用する際に限り出発基準時刻「午前7時」の適用を除外。07年度の利用率は64・3%だったが08年度は82・7%に増えた。

同記事では,佐賀市に対して,同市が位置する同県の知事より,同市職員が首都圏への出張を行う際に,有明佐賀空港を「100パーセント利用」すること等の要望を示したことを紹介.
同記事内で紹介されている「マイエアポート宣言」については,同県HPを参照*1.「出張での有明佐賀空港の利用率を50%から80%にします」,「首都圏,関西圏からの来訪者に,有明佐賀空港の利用を勧めます」,「本社(支社)との往来には,有明佐賀空港を利用します」,「国際貨物の輸出は,有明佐賀空港の夜間貨物便を利用します」等の,「有明佐賀空港の具体的な利活用の取組を宣言」した「有明佐賀空港『マイエアポート宣言』届出書」を提出」することを,「佐賀県及び福岡県南西部地域の事業所」に求める取組のこと.特典として,「特典航空券(有明佐賀空港の定期便の1往復分)進呈」(年間2回を限度),「有明佐賀空港ホームページ,その他広報媒体での事業所紹介」,「リムジンタクシー割引クーポン券進呈」,「定期的なキャンペーン情報の提供」が行われるとのこと.市民・県民が空港の利用増加を如何に図るかはなかなか悩ましい問題.
同記事では,まずは「塊より始めよ」とのことで,「マイエアポート宣言」の一つとして同市に加わり,更に,同市職員は「100%」の利用となるよう,同県知事から要望が示された,というもの.ただ,同市の「佐賀市職員等の旅費に関する条例」を拝読させていただくと,第7条では「旅費は,最も経済的な通常の経路及び方法により旅行した場合の旅費により計算する」とある.つまり,「順路による費用を弁償」*2する際の旅費計算では,いわば「経済性」の基準が前提とされるともいえる.ただし,同条では,「公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情により最も経済的な通常の経路又は方法によって旅行し難い場合には,その現によった経路及び方法によって計算する」*3との留保もまたある.同記事のように,同県からの要請が「公務上の必要」として解されるのであれば,旅費に対する「経済性」基準に対する比較考量を経ずとも,同記事の如く,同空港の利用優先という判断がなされているのだろうか.興味深い.
なお,蛇足.下名,2009年6月6日付の本備忘録でも記したように,生来の厄介な「持病」の虞から,長短距離の移動の際には四輪系の利用は極力回避傾向.最近の長距離移動では,種々のコストを勘案すると,結局は安価という理由から,可能な限り空港を利用し,同県を訪問させて頂いた折に同空港も利用させていただく(ただ,大凡の空港は郊外設置のため,結局は,目的地までは,バス等で移動ということになりますが).

*1:佐賀県HP(有明佐賀空港マイエアポート運動)「有明佐賀空港マイエアポート宣言事業所

*2:碓井光明『政府経費法精義』(信山社,2008年)249頁

政府経費法精義

政府経費法精義

*3:佐賀市HP(市政案内:行政関係議事録・例規検索について佐賀市例規集)「佐賀市職員等の旅費に関する条例」(平成17年10月1日条例第51号)