過疎化に悩む京都府伊根町は、町内で開く小中学校などの同窓会幹事を代行する業務に乗り出した。古里で旧友と会うことで、都会で暮らす町内出身者にUターンを促すのが狙いといい、出欠確認や会場手配、マイクロバスでの送迎と至れり尽くせり。業務の一部を代行する自治体はあるが、総務省は「同窓会の事務すべてを代行する自治体は珍しい」としている。
 町によると、幹事からの希望を聞いて案内状を作成、卒業生名簿などを基に送付するほか、会の進行内容なども企画する。町内には鉄道の駅がないため、当日は隣の宮津市の駅へ町のマイクロバスで迎えに行き、旅館などの会場や母校に案内。会場では、職員らが町の魅力をPRし、Uターンを呼びかける。町には小、中学校各2校、府立高校の分校1校があり、約25年前に京都市内で小学校の同窓会を開いた同町の無職永浜貢さん(62)は「当時、10年後にまた会おう、と約束したが、準備が大変で実現できていない。町の制度を利用して古里で集まりたい」と話す。
 同町は、1階に船を係留できる「舟屋」の景観で知られる。人口は1965年の約5800人から現在、約2600人へと半減。高齢化率は41・6%と最近10年間で6ポイント増えている。同様の取り組みでは、北海道鷹栖町でも2008年から同窓会の案内状を印刷、郵送しており、1年間で8件の利用があった。

同記事では,伊根町において,町内の小中学校が開催する同窓会幹事を,同町が「代行」する取組を行っていることを紹介.同記事では「Uターン」促進方策の一環としての取組の側面とともに,2009年6月6日付の京都新聞では,「幹事を務めることが困難な高齢者らに代わり,町職員がスケジュールの調整や出欠の確認などを担当」と報道されたように,幹事担当者の加齢による業務処理の困難性への補完的取組の側面としても効果がありそう.同取組については,同町HPを参照*1
具体的には,同取組の目的としては,「郷土での同窓会開催に限り幹事の支援を行うことで,町内事業所の利用促進と共にIターン・Uターンの促進」と,「町内事業所の利用促進」という上記の目的以外にも地域経済対策もある模様.代行してもらえる業務としては主に次の3点.まずは,幹事からの疑問・質問・要望を「洗い出」し,「同窓会開催までの全体的な流れを」「要望にそってアドバイス」し「スケジュールの準備」を図る「ヒアリング」業務.次いで,預かった「卒業生名簿を元に,同窓会開催名簿を作成」し,「転居などで所在不明の方の住所も案内状発送時に調査するシステム」を通じて「同窓会開催名簿を作成」し「案内状」の「発送」「出欠・転居先情報の受付」を行う「出欠確認」業務.そして,最後に,「町内で事前に登録を受けた各飲食事業者から」,幹事の「要望に添った会場選定」し,「同窓会当日の運営等を提案」する「会場手配」業務である.ただ,同窓会の費用負担の大半が会場及び飲食分であるとはいえ,同町の同取組では「本事業の連絡調整にかかる通信費用は町が負担させていただきます」とはあり,同業務に関する特段の費用負担が明記されていない模様.
現在までに,既に同窓会(幹事)代行サービス市場において各種事業者が多数存在するなかで,今後,同町のように,自治体が同窓会業務への代行主体として参入することにより,利用者の代行事業者の選択行動も変容することになるのだろうか.興味深い.その場合,特に,上記の業務のうち第3番目にある「会場」の内容が,結果的な選択要因にもなるとも想定され,具体的な事業者やそこで提供される内容もまた同HP等で把握はできるようになると,適当か.