◆副部長、担当部長、次長、参事、担当課長、課長代理…◆
 県は20日、本庁の課を細分化するなどの組織再編を行う方針を決めた。12月1日開会の12月定例議会に条例改正案を提案し、可決されれば、来年度から実施する。県人事課は「迅速な意思決定と機動的対応ができる組織へ転換したい」としている。
 再編案では、知事部局の「7部1局」を「8局」にし、現在の部長らが局長となる。局長は、これまで部長が担った許認可書類の最終決裁など煩雑な業務から離れ、施策方針の立案や重要課題の政策判断などに専念する。
 また、現在約80ある課を、専門課題に対応できるよう140程度に細分化する。一方、縦割りの弊害をなくすため、関連課題を担当する複数課を束ねる32部を新設する。副部長、担当部長、次長、参事、担当課長、課長代理、副課長など、現行では数多い管理職名を原則廃止し、「部長」か「課長」にする。部長と課長の人数は大幅に増えるが、人件費などは現行の範囲内に抑える。

◆行政運営調整局→総務局、市民活力推進局→市民局…◆
 横浜市は20日、27日開会の市議会定例会に提出する25億9800万円の一般会計補正予算案など66議案を発表した。
 条例の一部改正案では、中田宏・前市長時代に変更された行政運営調整局や市民活力推進局、まちづくり調整局、安全管理局の名称を、来年4月1日から元の総務局、市民局、建築局、消防局に戻す。市民から、「何をやっているのか分かりづらい」「どこに相談すればいいのか」などの批判が多かったためという。
 一般会計補正予算案では、市内の福祉施設などへの就労を条件にホームヘルパー2級の受講料を助成する事業について、10月末で820人が申請するなど好評のため、当初予算の対象1000人に、500人分(2000万円)を追加する。また、企業会計では、みなとみらい21地区の2街区(計約1万4600平方メートル)で、事業者が開発から撤退したため、買い戻しなどの事業費133億900万円を計上した。

同記事では,神奈川県と横浜市における,機構及び名称再編,職制改正の取組方針を紹介.横浜市では,現在の「行政運営調整局」を「総務局」,「市民活力推進局」を「市民局」,「まちづくり調整局」を「建築局」,「安全管理局」を「消防局」と,「元の」名称へ「戻す」方針であり,一方,神奈川県では,「局制」へと移行するととも,現行の部の分散化とともに関連分野による再統合,そして,課の細分化を図る模様.各市・県の取組については,現在のところ,その詳細を把握できず,残念.
伊藤正次先生による,都道府県知事の「直近下位の内部組織」の形態分析結果*1を拝読すると,「都道府県知事部局の組織編制」としては,2009年1月27日現在,10形態が存在し,まず,「局制(局−部−課)」は2都県(東京,広島),「部制(部−課)」は16府県(岩手,秋田,山形,宮城,栃木,埼玉,千葉,富山,福井,長野,岐阜,京都,山口,高知,大分,沖縄),「部内局制(部−局−課(室))」は4道県(北海道,兵庫,和歌山,愛媛),「一部部内局制(部−課を基本としつつ,一部の部の特定分野を所掌する部内局を設置)」は10県(茨城,群馬,石川,三重,滋賀,奈良,岡山,香川,福岡,宮崎),「局部並立制(知事直近下位組織として,局と部が並立)」は5県(神奈川,山梨,愛知,鳥取,熊本),「局部並立・一部部内局制(局と部が並立しつつ,一部の部の特定分野を所掌する部内局を設置)」が6県(青森,新潟,静岡,鳥取,徳島,鹿児島),「部内室(総室)制(部−室(総室)−課)」が1県(福島),「部内室・一部内局制(部内室制をとりつつ,一部の部の特定分野を所掌する部内局を設置」が1府(大阪),「本部制(本部−課)」が1県(佐賀),「本部・局・部並立制(知事直近下位組織として,本部,局,部が並立)」が1県(長崎)の状況にあり,事程左様に「多様な部局編成を採用」(64頁)されている.
同県の場合,同形態分類を踏まえると,現在の「局部並立制」の形態から「局制」へと移行することとなりそう.また,2009年11月19日付の山陽新聞にて報道された岡山県の取組では,「知事室,政策審議監室,企画振興部企画振興課を一本化」され「総合政策局」を「設置」し,あわせて「現行の企画振興部と生活環境部を見直し」,「県民生活部」と「環境文化部」に「再編」*2する方針にあるとされ,これにより,同県は「一部部内局制」から,(部内局を廃止すればですが)神奈川県が抜けた「局部並立制」へと移行することになりそう.興味深い.
同記事における神奈川県の「直近下位の内部組織」数は,「神奈川県部設置条例」*3に基づき「7部1局」と紹介.確かに,「神奈川県行政組織規則」という「規則」に基づく機構ではあるものの,「平成20年度」に,同規定第5条第1項により「部設置条例に定める部の外に知事室を設置され」*4,「知事に直結する組織とするとともに,政策補佐官等を任命し,スタッフ機能を充実」*5した「知事室」の対応は,「8局」体制への移行後の機構数には含まれてはいないようである.(これらを「条例局」と呼ぶならば),認識上は上記の通り「知事に直結する組織」とはされながらも,いわば「規則室」のままとなるであろう知事室は,どのような対応がされるのだろうか.やはり,2008年11月26日付同年12月4日付2009年3月10日付の各本備忘録にて触れた,「知事直属」「知事直轄」,そして「知事直結」という表現(これもまた,「ドクトリン」*6でしょうか)に対する,下名の個人的な疑問(「違和感」という表現が適当ですが),やはり解明しない.要経過観察.
なお,蛇足.横浜市における機構名の「戻す」方針.これもまた,「「行き過ぎ是正」の機運」(前掲注1・伊藤2009:70)の一つのなのかな,と思いつつ,興味深く拝読(ただ,「総務局」という名称を持つ部門.「自治業界」関係者は当然ですが,市民の方々の間で,同名称を通じて特定業務を直線的に想起させる,人口に膾炙する名称なのかは,これまた,要観察).

*1:伊藤正次「自治体行政組織の構造変化と改革課題」『都市問題研究』第61巻第4号,2009年4月号,63頁

*2:山陽新聞(2009年11月19日付)「岡山県が総合政策局を新設へ 政策推進機能を強化

*3:神奈川県HP「神奈川県部設置条例」(昭和31年10月1日,条例第30号)

*4:神奈川県HP「神奈川県行政組織規則」(昭和31年10月1日,規則第64号)

*5:神奈川県HP(県の運営情報行政システム改革神奈川県の行政システム改革)「政策立案機能の強化に向けた執行体制の整備

*6:牧原出『行政改革と調整のシステム』(東京大学出版会,2009年)20頁

行政改革と調整のシステム (行政学叢書)

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