枝野幸男行政刷新担当相は8日、公益法人などを対象に行政刷新会議が20日から実施する事業仕分け第2弾後半日程で、全国知事会などの地方団体を取り上げる方針を固めた。知事会や全国市長会など地方6団体が総務省OBの天下り先になっているとの批判を重視、天下り根絶への強い姿勢を示すとともに、地方分権の障害になっていないかどうか実態を調べる必要があると判断した。
 この問題については、4月20日の刷新会議で前鳥取県知事の片山善博慶応大教授が「地方6団体の事務局は典型的な天下り団体だ。しっかりとメスを入れる必要がある」と指摘。枝野氏が「広い意味で行政刷新の視野に入れる」と応じていた。日程の都合もあり、仕分け対象は地方6団体のうち知事会を含む1、2団体となる見通しだ。
 ただ、地方6団体は地方自治法に基づく「全国的連合組織」で、公益法人などとは組織の在り方が異なる上、刷新会議内に天下り調査のため特定の組織を取り上げるのは、効率性などを検討する「事業仕分け」の手法になじまないとの意見があるため、具体的な議論の進め方は今後調整する。

本記事では,内閣府に設置されている行政刷新会議における「事業仕分け」の取組を紹介.2010年4月20日に開催された第8回の同会議における審議結果をもとに,その対象として,「全国知事会などの地方団体を取り上げる方針」にあるとの報道.同会議の同回に関しては,同会議HPを参照*1
同回の同会議議事要旨を拝読すると,「天下りについてメスを入れるのであれば,地方6団体は典型的な天下り団体であり、国と地方との協議の場を設けるのであれば,まず,地方6団体の天下りをなくすべきである」*2との記録がある.ただ,同記録,「行政刷新会議の運営全般について,民間議員の方々を中心に,自由な意見交換」されたなかでの「各議員からの主な意見」*3として整理されており,直截的は,「事業仕分け」の対象とすることが適当との発言文脈ではないようにも読めないこともない.
「政府系公益法人」の「75法人」がその対象とされる予定であることが報道*4されてきた「事業仕分け第2弾後半」.「論理的,合理的,客観的に結論が出るべきことについてだけ事業仕分けでやる」*5とも解されてはいる,その対象事業.2010年4月8日に開催された第7回の同会議において提出された「資料3-1 事業仕分けの対象事業の選定に当たっての考え方(案)」を拝読すると,その選定に際して,「事業目的が妥当であるか,財政資金投入の必要性があるか」,「当該事業が手段として有効であるか.効率的に行われているかどうか」,「限られた財源の中で,ほかの事業に比べて緊要であるか」,「事業性を有するもの,民間の参入を阻害しているもの,国が一定の関与を行うことで民間が実施可能なものは民間において実施できないか」,「事務・事業の実施に伴う国民や地方公共団体等の負担を軽減させることができないか」という5つの「視点の例」*6が示されている.本記事で紹介されている「地方六団体」は,これらの「視点」の何れに該当されるとの判断から,選定されることになるのだろうか(4又は5番目の「視点の例」でしょうか).要確認.
また,例え,いずれかの「視点」に該当するとの判断から選定された場合,本記事で紹介されているように「日程の都合もあり,仕分け対象は地方6団体のうち知事会を含む1,2団体」とすることに関しては,「一種の圧力団体」*7との整理もされたことがあるように,その「総意」*8を重んじ,6つの団体が一体として歩調を合わせて活動されてきた部分もあること(限定する場合であっても,執行三団体,議長三団体の何れか)からも,その対象が「知事会を含む1,2団体」に限定されることへの判断の経緯や基準もまた明確とされることが適切であるように思わなくもない(もちろん,昨年度実施された「事業仕分け」の結果からすれば,同評価においては,必ずしも「廃止」の結論ばかりではなく,「抜本的な機能強化」*9などの結論もあるようではあることも事実.また,仮に,団体の「廃止」や団体としての「統合」との選択肢が示された場合,2010年4月28日に参議院において「可決」された「国と地方の協議の場に関する法律案」の第2条における「構成」*10の規定も,今後修正されることもあるのでしょうか).
同団体選択の趣旨や基準に関しては,同回の同会議の「議事録」の公開後,同発言文脈を要確認.

*1:内閣府HP(行政刷新会議行政刷新会議行政刷新会議について)「行政刷新会議(第8回)議事次第」及び「行政刷新会議(第8回)議事要旨

*2:前掲注1・内閣府([行政刷新会議(第8回)議事要旨)5頁

*3:前掲注1・内閣府([行政刷新会議(第8回)議事要旨)4頁

*4:東京新聞(2010年5月7日付)「【政治】仕分け候補 75法人 20日から後半戦

*5:枝野幸男『「事業仕分け」の力』(集英社,2010年)158頁

「事業仕分け」の力 (集英社新書)

「事業仕分け」の力 (集英社新書)

*6:内閣府HP(行政刷新会議行政刷新会議行政刷新会議について行政刷新会議(第7回)議事次第)「資料3-1 事業仕分けの対象事業の選定に当たっての考え方(案)

*7:松本克夫「地方六団体と自治体連携」『岩波講座2 自治体の構想 制度』(岩波書店,2002年)223頁

岩波講座 自治体の構想〈2〉制度

岩波講座 自治体の構想〈2〉制度

*8:西尾勝地方分権改革』(東京大学出版会,2007年)56頁

地方分権改革 (行政学叢書)

地方分権改革 (行政学叢書)

*9:内閣府HP(行政刷新会議行政刷新会議行政刷新会議について行政刷新会議(第4回)議事次第)「資料1-1 行政刷新会議 ワーキンググループ事業仕分けの評価結果

*10:参議院HP(議案情報)「提出番号57国と地方の協議の場に関する法律案