秋田県は27日、今年3月に退職した3人の課長級以上の元職員が、在職時に利害関係のあった県内の建設関連会社に再就職していたと発表した。県は内部規定で自粛を求めていた。
 内規に反して再就職したのは、元出納局参事、元仙北地域振興局建設部長、元平鹿地域振興局建設部長の3人で、いずれも土木職採用の職員。県は官製談合などを防ぐため、2007年に退職前5年間に在籍していた部署と、密接な関係にある企業への就職を2年間自粛するよう内規で定めた。しかし07年度の退職者で3人、08年度は1人がこれに反して再就職していた。
 再就職した場合、県への営業活動を2年間しない誓約書を提出するよう内規で求めており、7人全員が応じている。県は内規違反者について「非常に残念だが、退職者にも職業選択の自由があり、今のところ強化する考えはない」と話している。県によると、09年度に退職した職員は205人で、121人が8月までに県内外の団体や企業に再就職した。内訳は各種団体が県の出資法人を含め50人、民間企業19人、県の再任用や非常勤など45人、国や県以外の地方公共団体7人だった。

本記事では,秋田県における退職職員の再就職状況について紹介.同状況に関しては,同県HPを参照*1
同状況では,「平成21年4月1日から平成22年3月31日まで」の間,「県を退職した職員」の方々の「平成22年8月1日現在」の現状を紹介.退職者計「205」名のうち,「再就職」された「121」名については,まずは,「各種団体」が50名(同団体のうち「出資法人等」が「19」,「民間企業」が「19」名,「県以外の地方公共団体・国」が「7」名,「県再任用・県非常勤等」が「45」名とある.他「84」名については「再就職せず」*2との状況にあることが分かる.
また,同状況では「過去4か年の状況」*3も記載されており,「再就職」に占める「再就職先区分ごとの状況」率を算出してみると,2007年では「各種団体」が57.7%であったことに対して,2009年では56.1%とほぼ一定割合,「民間企業」は,2007年が16.7%,そして2009年は5.6%と,11.1ポイント減,一方,「県再任用・県非常勤等」は,2007年が25.6%,2009年は36.4%は10.8ポイント増とある.各年度の退職者の最終的な職位(及び職種),退職者数により,その再就職の状況は異なることも想定され,あくまで同値のみに基づくが,「民間企業」への再就職後の路線が「民間企業」から「県再任用・県非常勤等」へと移行しつつある,とも推論ができそうか.要確認.
地方公務員法には」「私企業への再就職について何ら法的規制はない」*4ものの,本記事にて紹介されているように同県でも「密接な関係にある企業への就職を2年間自粛する」「内規」を整備されている模様(ただし,同県HPでは把握できず,こちらも,要確認).同状況の公表は「本庁課長級以上で退職した職員の再就職状況」として氏名公表されており,「公表すること自体が目的ではなく」*5,「密接な関係にある企業」への再就職への自粛に向けた「誘導」*6が企図されていることが想定されるとも考えられるものの,仮に,上記自粛期間が2年の自粛を促進する場合,退職後2年目の「再就職状況」(再々就職状況,でしょうか)もまた把握し,その後,公表を行うことも想定されているものなのだろうか.

*1:秋田県HP(組織別案内総務部人事課職員・人事秋田県職員退職者の再就職状況)「秋田県職員退職者の再就職状況」(総務部人事課,平成22年10月27日)

*2:前掲注1・秋田県秋田県職員退職者の再就職状況)1頁

*3:前掲注1・秋田県秋田県職員退職者の再就職状況)1頁

*4:中野雅至『天下りの研究』(明石書店,2009年)67頁

天下りの研究

天下りの研究

*5:鈴木潔『強制する法務・争う法務』(第一法規,2009年)158頁

行政上の義務履行確保と訴訟法務「強制する法務・争う法務」

行政上の義務履行確保と訴訟法務「強制する法務・争う法務」

*6:中原茂樹「行政上の誘導」磯部力・小早川光郎・芝池義一『行政法の新構想?』(有斐閣,2008年)203頁

行政法の新構想〈2〉行政作用・行政手続・行政情報法

行政法の新構想〈2〉行政作用・行政手続・行政情報法