香取市は県内で唯一、合併前の旧市町(佐原市、小見川、山田、栗源町)ごとに置いている地域自治区を、3月末で廃止する方針を決めた。旧市町の住民の意見を行政に反映させやすくしようと、2006年3月の合併時に設置したが、合併から5年が経過するのを前に検証した結果、「今後はもっと小さな町内会などの単位で意見を吸い上げる必要がある」と判断したという。ただ、市民からは存続を望む声も聞かれる。
 地域自治区制度は、合併で自治体が拡大したことによる地域力の低下を防ぎ、住民の意見を反映した街づくりを進める目的で、2004年の地方自治法改正などによって創設された。各区では、推薦や公募で選ばれた委員で構成する「地域協議会」を置き、地域の課題を審議する。総務省によると、全国では55自治体(07年10月時点)が地域自治区を設置している。
 香取市の各地域協議会は委員10人で構成され、年に数回の会議を行い、市に対して意見書を提出するなどしてきた。小見川区では協議会の意見を受けて巡回バスのルートを変更するなどの成果を上げている。旧4市町の合併協定で、設置後5年を目安に地域自治区制度を検証し、見直すと決めていたことを受け、昨年から見直し作業を行ってきた。検証の結果、住民の意見反映という点で効果が認められた一方、旧市町の規模に対して委員が10人と少ないことから、町内会などとの連携が不足するという課題が挙がったという。
 市は地域自治区廃止に伴い、町内会長らの会議を開催して市政への意見をくみ上げるほか、まちづくり条例を制定する方針。条例案では、より地域に近い小学校区単位を基本に町内会やPTAなどで住民自治協議会を作り、市が活動を支援するとしている。根本義郎・市企画財政部長は「合併から5年がたち、新市として新たなステージに移していく。市民との協働についても、まちづくり条例でより身近な仕組みにしたい」としている。ただ、ある市議は「旧市町の住民それぞれに要望がある。それを代弁する機関が必要。(廃止は)まだ早いのではないか」と指摘する。また、地域協議会の委員では「廃止によって、香取市として一体感を持たせるべき」という意見がある一方、新たな住民自治協議会について「役員のなり手が少ないのでは」「市が支援するといっても、どんな形でかかわってくるのかイメージがつかめない」といった不安の声も聞かれる。

本記事では,香取市において,同市に設置された「地域自治区」制度の廃止の方針について紹介.同制度の「廃止」方針に関しては,同市において「平成23年1月18日(火)から平成23年2月14日(月)まで」の期間で,「香取市地域自治区の設置に関する条例を廃止する条例(案)」に関するパブリックコメントを実際中.同市では「合併協議」において「合併後5年を目安に制度を見直すこと」とされており,2010年度末「をもって5年が経過すること」を踏まえて,同「市では地域自治区制度の見直し作業」*1を進められてきた模様.
パブコメの資料を拝読させて頂くと,同市では「旧佐原市,山田町,栗源町小見川町の区域ごとに地域自治区を設ける」ことが「合併協定書」ではしるされていたものの,「行政改革の観点から平成18年10月に本庁と佐原区事務所の統合」により「佐原区」では「地域協議会のみの運用」されている.各自治区の「事務所は,総合支所」として「分掌事務を所掌」されつつも,「職員数の大幅な削減や行政改革の観点」と「市行政の統一,一体性を図る」点から「本庁機能を充実する分掌事務の見直し」が図られ「各総合支所の分掌事務は縮小」*2されている,という.また,「予算の執行」に関して,「各地域自治区が「新市建設計画に定める主要事業や地域づくり事業に必要な経費について予算要求枠として配分」されつつも,「実質的な運用は本庁を中心に進めて」いることもあり,「予算執行にあたっても制度設計時のものとは大きく異なってい」*3るという.上記の通り合併協定における「5年を目安に制度を評価して見直しを図る」ことを踏まえて,「合併検証」,「庁内全課調査」,「全国」の15の「地域自治区地方自治法)調査」(総務省による「平成22年4月1日現在」の調べでは「20」*4自治体での採用状況にあることが分かりますが,5つの格差は,カウントの方法の格差なのでしょうか,又は,同市調査迄の間に5自治体でも「廃止」されているのでしょうか,要確認.),そして,「市の幹部職員で構成される香取市都市経営本部及び都市経営本部幹事会」*5における検討がなされ,「区・町内会等や市民活動団体等との連携や協働のまちづくりの具体的な活動の展開までは至っていない状
況」にあるとされ,本記事においても報道されているように,同制度の廃止と,「地域住民の意見を行政に反映させる機能」としての「区長・町内会長等による会議の充実」「広報・広聴体制の充実・強化」*6,「まちづくり条例の制定(まちづくり活動への支援)」*7という「新たな制度」の採用される方針.
「きめ細かに各地域の住民の意見が反映される」*8ことを目的の「経路形成」*9として整備された同制度.新たに採用される「制度」においてもまた,新たな「経路形成」と位置付けることが適当であるのか,又は地域における制度の「ロックイン効果」による「経路依存性」*10として整理することが適当か,今後の同市における同制度の廃止,「新たな制度」の整備状況は,要経過観察.

*1:香取市HP(パブリックコメント制度(意見募集))「パブリックコメントの詳細(015)香取市地域自治区の設置に関する条例を廃止する条例(案)

*2:香取市HP(パブリックコメント制度(意見募集)パブリックコメントの詳細(015)香取市地域自治区の設置に関する条例を廃止する条例(案))「(資料2)地域自治区制度見直し資料」1頁

*3:前掲注2・香取市((資料2)地域自治区制度見直し資料)2頁

*4:総務省HP(政策地方行財政広域行政・市町村合併市町村合併資料集)「地域審議会・地域自治区・合併特例区の設置状況(平成22年4月1日現在)

*5:前掲注2・香取市((資料2)地域自治区制度見直し資料)3頁

*6:前掲注2・香取市((資料2)地域自治区制度見直し資料)6頁

*7:前掲注2・香取市((資料2)地域自治区制度見直し資料)7頁

*8:前掲注2・香取市((資料2)地域自治区制度見直し資料)1頁

*9:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣,2010年),178頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

*10:前掲注9・秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉2010年:177頁