ごみの分別ルールを徹底してもらおうと、千葉市は四月から、違反者に過料を科す新しい「ごみ分別・排出指導制度」を始める。新制度は、市内に約二万カ所あるごみステーションのうち、これまでの調査で違反の多かった百二十二カ所に適用する。
 市によると、新制度では分別が不徹底だったり日時が守られなかったりした場合、市職員がごみ袋を開封、排出者を特定する。訪問指導や勧告、命令を経て、改善されない場合は過料二千円を徴収する。事業所ごみの違反は過料のほか、事業所名や違反内容を公表する。新制度が適用される百二十二カ所は、住宅から離れた人の目が届きにくい場所や、一部の集合住宅など。改善状況やほかの地域の調査結果をみて変更や拡大を検討する。熊谷俊人市長は「真面目に分別に取り組んでいる市民も多い。公平性を守るために罰則のある制度を導入した」と、分別への協力を呼び掛けている。 (小川直人)

本記事では,千葉市における「ごみ分別・排出指導制度」の取組を紹介.2010年1月6日付及び同年8月8日付の両本備忘録で記録した,同市における同制度の検討,同年9月8日の改正「千葉市廃棄物の適正処理及び再利用等に関する条例」の公布に伴い,4月1日から実施.同制度の概要に関しては,同市HPを参照*1
同制度では,「分別が徹底されていない場合(可燃ごみへの不燃ごみ・資源物の混入など)」,「決められた日時(収集日の早朝〜午前8時)以外に出された場合」「指定袋などの決められた容器以外で出された場合(可燃ごみをレジ袋で出すことなど)」」の「ルールを守らないで出されたごみ」は「開封調査などにより出した方を特定」のうえ「訪問指導」がなされ,「指導後もルールを守」られない場合には「改善勧告・改善命令」がなされる.そして,「命令後1年以内にルールを守らないでごみを出した場合」には「過料(2千円)が適用」となる.同制度に関しては,「日本語版」はもちろん,「英語版」「中国語版」「韓国語版」「スペイン語版」「ポルトガル語版」の計6ヶ国語で同制度の「啓発チラシ」を作成されおり,同制度の堅実な執行を企図されている模様.
一方で,「監視と統制」の「コスト」の「二次的ジレンマ」*2としても,「どんなに監視の目を光らせていても」「違反は発生」し,その監視を行う「行政ソースに制約がある」ことからすれば,「「外部の目」を制度化」*3されることをも考えられなくはない.ただ,「「外部の目」を制度化」された場合,その制度が置かれる「コミュニティ」*4において,コミュニティであるがゆえに忌避されることになるか,又は,コミュニティであるからこそ受容されるものなのか,考えてみたい課題.

*1:千葉市HP(環境局環境事業部収集業務課)「ごみ分別排出指導制度が始まります。

*2:山岸俊男社会的ジレンマ』(PHP出版,2000年)98頁

社会的ジレンマ―「環境破壊」から「いじめ」まで (PHP新書)

社会的ジレンマ―「環境破壊」から「いじめ」まで (PHP新書)

*3:北村喜宣『環境法』(弘文堂,2011年)194頁

環境法

環境法

*4:寄本勝美『リサイクル社会への道』(岩波書店,2003年)197頁

リサイクル社会への道 (岩波新書 新赤版 (857))

リサイクル社会への道 (岩波新書 新赤版 (857))