小田急電鉄は22日、川崎市藤子・F・不二雄ミュージアム(同市多摩区)の開館にちなんで車体にキャラクターをあしらったラッピング電車について、東京都から都屋外広告物条例に抵触するとの指摘を受け、今月末で運行を終了すると発表した。
 ラッピング電車は、「ドラえもん」や「パーマン」など藤子さんの代表的作品のキャラクターがあしらわれ、「小田急F―Train(エフ・トレイン)」として8月3日から運行をスタート。運行ダイヤの問い合わせが相次ぐなど、子どもたちや鉄道ファンらから注目を集めていた。ところが8月18日、都から小田急に対し、ラッピングが広告に当たるとした上で、(1)許可申請していない(2)広告物の面積が基準(車体1面の10分の1以下)を超えている―と指摘があった。小田急は指摘を認め、既に運行計画が組まれている9月30日をもって運行を終了することを決めた。
 このラッピング電車は沿線の魅力向上が目的で広告料は徴収しておらず、小田急は「広告ではないという認識だった。確認したところ広告物に該当しており、弊社の認識不足。楽しみにしていた方やミュージアムなどの関係者に深くおわびします」と陳謝している。同社では10月1日以降、条例に抵触しない車内の装飾は継続するものの、車体は通常の車両デザインに戻す予定。今後は沿線自治体の条例を踏まえた形でのデザイン変更も検討するという。

本記事では,東京都における屋外広告物条例の実施状況を紹介.
2011年8月3日より運行されている「小田急F-Train*1が,同条例施行規則第19条に基づく規格*2を超えていたものの,同条例第23条による「許可の申請」*3が行われていないことを「東京都」から「指摘を受け」,「2011年9月30日(金)」で「車体へのラッピング装飾を終了」*4
同社によると「東京都屋外広告物条例への認識不足」がその背景の模様.まさに,「不知」*5による「善意の違反者」*6による違反行為の模様.具体的には,「車体へのラッピング装飾は車両塗装の変更であり,広告には該当しないものと認識」*7とも同社の認識が示されており,「広告物」という言葉や語感がもつ一般的な認識と,屋外広告物法に基づく同用語の定義との乖離によるものとも整理ができそうか.なるほど.

*1:川崎市藤子・F・不二雄ミュージアムHP「小田急F-Train運行中!

*2:東京都HP(都市整備局都市づくり政策屋外広告物条例・規則・要綱)「東京都屋外広告物条例施行規則」(昭和32年10月22日,規則第123号)

*3:東京都HP(都市整備局都市づくり政策屋外広告物条例・規則・要綱)「東京都屋外広告物条例」(昭和24年8月27日,条例第100号)

*4:小田急電鉄HP(おしらせお詫び)「特別電車「小田急F−Train」の車体ラッピングの終了について(2011/9/22)

*5:森田朗『許認可行政と官僚制』(岩波書店,1988年)63頁

許認可行政と官僚制

許認可行政と官僚制

*6:クリストファー・フッド『行政活動の理論』(岩波書店,2000年)63頁

行政活動の理論 (岩波テキストブックス)

行政活動の理論 (岩波テキストブックス)

*7:前掲注4・小田急電(小田急F−Train」の車体ラッピングの終了について(2011/9/22))