千葉県市川市は五日、職員の昼休み(正午〜午後零時四十五分)を十五分延長し、試行的に以前の一時間に戻すと発表した。近隣商店街からの要請がきっかけで、職員の疲労回復、仕事の能率アップにも配慮した。
 市の昼休みは以前、無給の休憩時間(四十五分)と、勤務時間とみなす有給の休息時間(十五分)があった。しかし、同様の休息時間があった国が厚遇批判で二〇〇六年に廃止したのを受け、市も〇八年四月から休息時間を廃止していた。
 ところが今年八月、JR本八幡駅を挟んで本庁舎から少し離れた南八幡、サンロードの両商店会が、昼休みを一時間に戻すよう要望書を提出。市職員課によると、昼休み時間が短くなったことで、弁当を注文したり、コンビニなどを利用する職員が増えたのが要望の理由という。職員組合のアンケートでも、回答者の三分の一が延長に賛成したことから試行に踏み切った。職員に周辺の飲食店を利用してもらうことで、地元の売り上げアップに貢献したい考えだ。試行期間は十七日から来年三月三十一日まで。問題点を整理し、来年四月から本格的に変更する考え。これに伴い、午後の終業時間と窓口業務もそれぞれ十五分ずつずらす。市役所本庁舎、行徳支所、大柏出張所内や消防局などに勤務する、正規職員の60%に当たる約二千人が対象となるという。

本記事では,市川市における職員の「休息時間」に関する取組方針を紹介.
本記事にも紹介されているように,2006年に「人事院規則15‐14(職員の勤務時間,休日及び休暇)」第7条第1項第1号において,国家公務員の「おおむね毎4時間の連続する正規の勤務時間」は「最大限4時間30分の勤務時間とする」と改められたことを受けて,いわば「官公均衡」*1としての「横並び競争」*2により,自治体職員の休息時間(勤務時間)も改正.
現状では,2010年12月27日に公表された,総務省が実施されている「地方公共団体の勤務条件等に関する調査」(下名が,拝読することを楽しみにしている調査の一つです)の「平成21年度」の「結果」*3を拝見させて頂くと,「平成22年4月1日現在」での「休息時間の廃止の状況」のうち,本記事でも紹介されている「休息時間を廃止済み又は平成22年度中に改正条例案を議会に提出予定」である自治体は,47都道府県,19政令指定都市のそれぞれでは全てが廃止,市区町村では1,731市区町村中1,705市区町村で廃止(98.5%)*4と,休息時間が標準化されている状況を観察することができる.
一方,本記事を拝読させて頂くと「商店会」からの「要望」を受けて,「試行的に以前の一時間に戻す」方針とのこと.確かに,「行政に対する働きかけ」に関して,「農林水産行,経済・業界,労働(県は除く)という利益追求型団体では,減少と増加が同程度か,あるいは減少の方が多くなっている」*5との全国的調査結果からは観察されているものの,なるほど,「団体側からみると,政治実施過程への関与は中央よりも地方において活発」*6であり,やはり「団体世界における行政の重要性」*7が反映された結果としても整理ができそうか.興味深い.

*1:西村美香『日本の公務員給与政策』(東京大学出版会,1999年)2頁[rakuten:book:10748614:detail]

*2:村松岐夫地方自治』(東京大学出版会,1988年)73頁

地方自治 (現代政治学叢書 15)

地方自治 (現代政治学叢書 15)

*3:総務省HP(政策地方行財政地方公務員制度)「平成21年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果

*4:総務省HP(政策地方行財政地方公務員制度平成21年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果)「表2 休息時間の廃止の状況(平成22年4月1日現在)

*5:久保慶明「ローカル団体の存立・行動様式」 辻中豊,森裕城編著『現代社会集団の政治機能』(木鐸社,2010年)268頁

現代社会集団の政治機能―利益団体と市民社会 (現代市民社会叢書 2)

現代社会集団の政治機能―利益団体と市民社会 (現代市民社会叢書 2)

*6:前傾注5・久保慶明2010年:270頁

*7:前掲注5・所収(森裕城「団体−行政関係の諸相」270頁)