県は来年1月、県庁職員会館内(さいたま市浦和区高砂3)に、民間企業も利用できる保育所を設置することを決めた。複数企業による保育所運営のモデルとしたい考えだ。県庁舎内の保育所は全国的にも珍しく、国土交通省宮城県で前例があるという。
 園児の受け入れは15〜20人程度。来年度当初予算に整備、運営費の一部として約3500万円を計上する。上田清司知事が知事選で掲げた、女性の社会進出を促す「埼玉版ウーマノミクス」の一環。保育所が職場から遠く、時間までに迎えに行くことができないことが、女性の職場復帰の壁となっていると指摘されていた。職員会館は、JR浦和駅から徒歩約10分と交通の便が良く、県庁を中心としたオフィス街に位置し利便性は高いという。運営は、県職員が所属する「県共済組合」と民間企業が作る協議会が、民間企業に委託する。利用枠の過半数が協議会に加盟した民間企業で、残りが県職員とする予定だ。【西田真季子】

本記事では,埼玉県庁における「事業所内保育所」設置の方針を紹介.
同県では,同県に設置された「埼玉版ウーマノミクス推進委員会」より,2012年1月10日に『提言書』が提出され,「保育サービスを充実するために多様な企業内保育所の整備を支援するとともに既存の保育施設のネットワークづくりを推進すること」*1が提案されている.「企業内保育所」の設置に対しては,申請に基づき「1企業あたり500万円まで」*2の補助を交付されており,同補助を通じて,2008年度は9か所,2009年度は11か所,2010年度は5か所に設置されている.
本記事を拝読させて頂くと,「第2庁舎」西側の「職員会館」*3内に,保育所を整備される模様.2010年8月25日付の本備忘録にて記録した宮城県庁内で保育所設置とともに,2008年12月7日付の本備忘録において項目立てを試みた本備忘録における妄想的・断続的観察課題のひとつである「庁舎管理の行政学」の観点からも興味深い取組.県庁舎内の整備を通じて,整備を検討されている事業所での設置の機会となり,更なる「普遍的」*4な保育への広がりも観察できることになるのだろうか.

*1:埼玉県HP(組織でさがす勤労者福祉課埼玉版ウーマノミクス推進委員会)『提言書』(埼玉版ウーマノミクス推進委員会,平成24年1月10日)2頁

*2:埼玉県HP(組織でさがす子育て支援課)「企業内保育所を設置する企業等に整備費を助成

*3:埼玉県HP(県庁へのアクセス)「県庁舎配置図

*4:エスタ・エスピン=アンデルセン『平等と効率の福祉革命』(岩波書店,2011年)95頁

平等と効率の福祉革命――新しい女性の役割

平等と効率の福祉革命――新しい女性の役割