県の「受動喫煙防止条例」施行を受け、公共施設や大規模飲食店など、禁煙や分煙などの対策が必要な施設の8割以上で、対策が施されていることが、県の調査でわかった。条例施行前の2倍近くに増えており、県たばこ対策課では「全対象施設で対策がされるように指導を続ける」と話している。
 同条例は2010年4月、全国で初めて施行された。学校や病院など「第1種施設」は原則禁煙だが、喫煙所を設置できる。ゲームセンターや床面積100平方メートル以上の大規模飲食店など「第2種施設」は、「分煙」実施も対策に含まれる。県は昨年10月下旬、同条例の対象となるこれら5555施設に調査用紙を送り、2509施設から回答を得た(回答率約45%)。この結果、第1、2種の合計で、対策実施率は約85%だった。条例施行前の調査(09年11月)では約46%だった。
 対策実施率の内訳は、第1種施設では「禁煙実施」約81%、「喫煙所を設置」約8%で、計約89%。第2種施設は「禁煙実施」41%、「喫煙所を設置」約18%、「分煙実施」約13%で、計約72%だった。

本記事では,神奈川県における受動喫煙防止条例の執行状況を紹介.同実施状況に関しては,同県HPを参照*1
同県では,「受動喫煙に関する県民意識調査」*2と「受動喫煙に関する施設調査」*3の二つの調査を実施.2007年度*4,2009年度*5にも同様の調査を実施されており,経年的な意識と取組状況も把握できる.政策の目標や手法という“forward mapping”をまずは整え実施されるものの,実施過程では影響を与えうる問題からは不可避とは考えられなくもない.同調査は,これらの問題や課題を把握するための一つの“bacward mapping”*6とも整理できそう,「最適な解」*7に向けた,今後の条例実施過程も,要経過観察.

*1:神奈川県HP(健康・福祉・子育て心身の健康たばこ対策かながわのたばこ対策たばこ対策関連資料(かながわのたばこ対策神奈川県における受動喫煙の現状(平成23年度))「平成23年度受動喫煙に関する県民意識調査及び施設調査の結果(速報)

*2:同調査の概要は次の通り.調査対象:県内在住の満20歳以上の男女5,000人, 抽出方法:住民基本台帳からの層化二段無作為抽出及び外国人登録原票からの単純無作為抽出, 調査方法:郵送による配布及び回収,調査期間,平成23年10月17日(月)〜10月31日(月),回収結果,有効回収数 2,482(有効回収率49.6%)

*3:同調査の概要は次の通り.調査対象:県内に所在する条例対象施設5,555施設,抽出方法:平成21年経済センサス‐基礎調査等からの層化無作為抽出, 調査方法:郵送による配布及び回収,調査期間:平成23年10月17日(月)〜10月31日(月), 回収結果:有効回収数2,509(有効回収率45.2%)

*4:神奈川県HP(健康・福祉・子育て心身の健康たばこ対策かながわのたばこ対策たばこ対策関連資料(かながわのたばこ対策)「神奈川県における受動喫煙の現状(平成19年度)

*5:神奈川県HP(健康・福祉・子育て心身の健康たばこ対策かながわのたばこ対策たばこ対策関連資料(かながわのたばこ対策)「神奈川県における受動喫煙の現状(平成21年度)

*6:Kettl,Donald F. (2011).The Politics of the Administrative Process Fifth Edition,CQ Press:432.

Politics of the Administrative Process

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*7:松沢成文(2009)『受動喫煙防止条例』(東信堂)183,184頁

受動喫煙防止条例―日本初、神奈川発の挑戦

受動喫煙防止条例―日本初、神奈川発の挑戦